作品情報 2015年ドイツ、ルクセンブルグ、フランス映画 監督:フロリアン・ガレンベルガー 出演:エマ・ワトソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・ニクヴィスト 上映時間:110分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2016年劇場鑑賞219本目
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
ドイツ人のキャビンアテンダント、レナ(エマ・ワトソン)は恋人のダニエル(ダニエル・ブリュール)がいるチリをフライトで訪れる。ダニエルはドイツからチリにやってきて、民主化運動に参加していた。
だが、軍部がクーデターを起こし、ダニエルは逮捕される。彼の行方を捜すレナは、ダニエルが「コロニア・ディグニダ」という謎の施設に収容されていることがわかる。そこは元ナチスのシェーファー(ミカエル・ニクヴィスト)が、自分が教皇だと名乗っているカルト集団だった。レナは、信者を装って、コロニアに潜入する。
【感想】
レナはフィクションですが、コロニア・ディグニダもシェーファーも実際にあったというから驚きです。ヨーロッパを逃亡したナチスは南米に隠れ住んだことがしられていますが、シェーファーは、「コロニア」で自給自足の生活をするとともに、銃や毒ガスなども開発し、チリ軍に売却することで、権力をにぎっていました。
コロニアは鉄条網で覆われ、ドイツからの移住者のほか、反体制派として逮捕された人間も収容され、人体実験も行われたそうです。シェーファーは小児男児が好きな変質者で、逆に女性に対してはひどくあたり、収容所内では家族は引き裂かれ、男女が恋に陥ることも厳禁でした。まるでオウムを彷彿とさせるカルトですが、チリの独裁者、ピノチェト大統領が失脚したあとも、軍や秘密警察との結びつきで、コロニアはしばらく続いたというのも驚きです。
映画のほうは、ダニエルの逮捕されるまでの危機感のなさや、レナの何も計画なしに潜入して、ピンチに陥ったり、周りの無関係な人を巻き込む様子はいらっとします。それでも、愛する恋人を探して、自分も命がけで収容所に潜入するという一途な気持ちを、ワトソンが好演しています。
収容所の拷問や集会の様子をみていると、カルト集団の怖さもよくわかる。なにより、ミカエル・ニクヴィストの存在感は圧巻です。さらにチリだけではなく、海外にも協力者がいる様子をみると、ナチスの影響というのも強いんだなと思わされました。たかだか30、40年前に、こういうことが起きたというのは、本当に世界ではいろいろ怖いことがあるなあ。
【2016年に見た映画の最新記事】