作品情報 2016年日本映画 監督:大根仁 出演:福山雅治、二階堂ふみ、リリー・フランキー 上映時間:120分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2016年劇場鑑賞220本目
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【ストーリー】
芸能人のスキャンダルを追っかける中年のフリーカメラマン都城静(福山雅治)は、出入りしている写真週刊誌「SCOOP!」の副編集長・横川定子(吉田羊)から、新入社員の行川野火(二階堂ふみ)の教育係を頼まれる。
最初は渋った静だが、高額のギャラに目がくらみ、二人はコンビを組むことに。違法行為も辞さずに、芸能人のスキャンダルを追っかけて、口もガラも悪い静と組まされ、最初はふてくされていた野火。しかし、次第に仕事に慣れていき…
【感想】
冒頭から、静が車のなかで風俗嬢をやっているシーンからスタート。PG12とはいえ、家族連れや福山ファンは気まずかったのでは。その後も、風俗の話に盛り上がったり、「新車と処女には乗らない」と公言したり、無精髭もあいまり、やさぐれぶりは従来の福山のイメージを一新するでしょう。
ストーリーとしては野火の成長物語と二人のバディモノというのを、大根監督らしいテンポの良さで描いているので、見ているだけでも面白い。さらに、静の過去をちりばめることで、エンタメとしての深みも出しています。でもそれだけではありません。
「ゴキブリかドブネズミ以下」と自ちょうする静ですが、腕は天下一品。情報屋のチョロ源(リリー・フランキー)の協力も得て、数々のスクープをものにします。芸能スキャンダルにここまで必死になる意味はあるのかと思っていた野火も、次第にスクープを撮るおもしろさにはまっていきます。ここはひいて考えると日本に限らず現代のマスコミの病巣を描いており、需要があるから、スキャンダル写真を必死で撮る。意味がなくても、スクープをとればうれしいゲーム感覚に取材陣もすっぽりはまる、そういううすら寒さを感じました。そもそも、日本は諸外国に比べてまじめなニュースに関心がなく、芸能など軽いニュースを好むという国際調査もでています。日本の構造的問題にもさりげなく触れてますね。
同時に、今の日本のマスコミは大人しすぎて、こういうアナーキーなことは難しいでしょうね。ネットにもすぐマスコミ批判がでるでしょうし。ただ、静と野火のような記者魂をどれだけ、今のマスコミの人が持っているのか、そこもまた、うすら寒く感じました。さらに、容疑者の写真を撮ろうとする静たちを規制しようとする警察。それに唯々諾々と従っている大手マスコミというのも今の日本でマスコミはこんなにだらしないのかと実感させます。
福山の存在感と体当たりの演技はよかったですが、二階堂も福山とのコンビは非常に印象的で、この組み合わせは今年の邦画の中でもトップクラスのもの。また、リリー・フランキーのこういう演技もいいですね。福山と共演した「そして父になる」との落差をみると、本職でないと思えません。題材や出演者から敬遠する向きもあるかもしれませんが、社会派エンタメとしても十分堪能できました。
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