作品情報 2015年イギリス映画 監督:マイケル・グランデージ 出演:コリン・ファース、ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン 上映時間:104分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2016年劇場鑑賞234本目
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【ストーリー】
ヘミングウェイ(ドミニク・ウェスト)、フィッツジェラルド(ガイ・ピアース)などの才能を見いだした、ニューヨークの、名編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)。ある日、彼の元にトーマス・ウルフ(ジュード・ロウ)という青年が原稿を持ち込んだ。
長大な原稿は難解な文書で書かれており、何社にも持ち込んだがみな断られたという。だが、マックスは原稿を読み、彼の才能に惚れ込み、何とかして出版しようと、二人三脚の作業を始め、処女作の「天使よ故郷を見よ」はベストセラーになる。二人の絆はウルフの愛人のアリーン(ニコール・キッドマン)ですら入れないほど固かった。だが…
【感想】
パーキンズの仕事の鬼ぶりは、ドルトン・トランボを上回るほど。幼い子供と食事もとらず、ひたすら原稿にうちこみます。ウルフもそれに応える努力ぶりで、時には何時間も論争をしながら、時には仲良く酒を飲みながら、編集作業は続いていきます。小説を描くというのはここまでの共同作業なのかと正直驚くほど。
しかし、作家というのは浮草稼業。フィッツジェラルドのように、かつては大評判の本を書きながらも、さまざまな事情で書けなくなる人も出てきます。一方、これまで貧乏にあえいでいたウルフも、莫大な印税で一躍時の人になると、これまで大切になったものも切り捨てていきます。
なかでも、貧乏なころは自分に資金援助してくれたアリーンとの仲も、執筆の作業が忙しくなるあまりにおかしくなっていきます。このあたりは、アメリカ映画ではアーティストを描いた作品によくあるかれど、小説家も一緒なのかと感慨深い。パーキンズとも、信頼しあっていたはずなのに、次第に歯車が狂っていきます。
役者の演技も手堅く、1930年代のアメリカを描いた美術や衣装もしっかりしている真面目な作品でした。逆にいうと、ほっとする場面が少ないけれど、パーキンズの幼い娘がウルフを慕う様子は、同じ幼い娘を持つ父親として、なんかうれしかった。自分の仕事を子供に理解してもらうって、本当にうれしいことですから。ウルフのことをしっていれば、よりよく楽しめたかもしれません。
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