2016年10月24日

アスファルト

 フランスの古ぼけた団地で織りなす、ちょっとハートウォーミングでちょっと切ない人間模様。非常に人を食った設定もあり、なんとも不思議な味わいでした。

 作品情報 2015年フランス映画 監督:サミュエル・ベンシェトリ 出演:イザベル・ユベール、ジュール・ベンシェトリ、マイケル・ピット 上映時間:100分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2016年劇場鑑賞238本目 



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 【ストーリー】
 フランス郊外の古ぼけた団地。エレベーターが故障したため、住民達で修理費を分担することになる。だが、2階に住む中年男、スタンコヴィッチ(ギュスタヴ・ケルヴェン)は、自分はエレベーターを利用しないから修理費は払わないと主張する。翌日、スタンコヴィッチは足をけがして車いす生活に。他の住民にばれないようこっそりエレベーターを利用することに。

 母親が留守がちで、いつも一人で家にいる高校生のシャルリ(ジュール・ベンシェトリ)は、隣に越してきた中年女性のジャンヌ(イザベル・ユペール)が、エレベーターの故障で困っているのを助ける。さらに、カギを忘れて閉め出された彼女を助けたことから、気軽に話すようになる。ジャンヌは80年代の人気映画女優だったが、今は落ちぶれて団地に流れ着いていた。

 NASAの宇宙飛行士ジョン(マイケル・ピット)は、地球へ帰還する小型カプセルが誤って、団地の屋上に不時着してしまう。団地の最上階に住む老女ハミダ(タサディット・マンディ)に助けを求めたが、彼女は英語がまったくしゃべれず…

 【感想】
 団地に住む3組の男女の物語ですが、基本的には交わらず、それぞれ平行して話しが進みます。古ぼけた団地同様、住民たちも時代に取り残された感じがありあり。スタンコヴィッチやジャンヌは惰性で今を生きている感じで、他人とのコミュニケーションもうまくとれません。シャルリもいつも一人でいる鍵っ子のためか、まだ若いのに孤独のオーラを漂わせ、時間の流れとは無縁の存在。さらに、携帯電話、パソコンなどが出ないことも、時代に取り残された感じをうまくだしています。

 しかし、人は本質的にだれかとつながりたいもの。スタンコヴィッチは、深夜の病院で知り合った中年の看護師(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)と、ぎこちないながらも会話をするようになります。また、ジャンヌとシャルリも年の差は数十歳離れているにもかかわらず、ちょっとずつ距離を縮めていきます。といって、フランス映画なのにラブシーンは一切なし。本当に孤独な魂がこれ以上傷つくことを恐れながら、次第に近づいていく感じで、なんともいとおしい。

 そして、コミュニケーションをとろうと思ったら、世の中そんなに悪くない。年齢、国籍、性別など関係なく、孤独をなぐさめてくれる存在がいる。独り暮らしのハミダが、息子が帰ってきたかのように、ジョンを歓迎。言葉がまったく通じないのに、ジョンのフランクな性格もあって、まるで親子のように仲良くなっていくのもほほ笑ましい。また、女優復帰を迷っていたジャンヌを後押しするシャルリの彼女を見つめる柔らかな視線も、心を温めてくれます。といって、きまじめな映画ではなく、何しろ、団地に宇宙カプセルが不時着する映画ですから、ところどころぶっ飛んだシーンを入れてきて、笑わせてくれます。

 イザベル・ユベールはさすがにうまい。落ちぶれた女優という役柄もさることながら、少年との魂のふれ合いという、下手すれば嫌らしくなりそうな演技もなんなくこなしていました。一方、ジュール・ベンシェトリの美少年ぶりもすばらしく、最初のシーンでは美少女かと思ったほど。ベンシェトリ監督の息子だそうで、今後の活躍が期待されます。
posted by 映画好きパパ at 07:09 | Comment(0) | TrackBack(3) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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