作品情報 2014年インド映画 監督:ラージクマール・ヒラニ 出演:アーミル・カーン、アヌシュカ・シャルマ、スシャント・シン・ラージプート 上映時間:153分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:チネチッタ川崎 2016年劇場鑑賞252本目
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【ストーリー】
インドの荒野に真っ裸の青年PK(アーミル・カーン)が現れた。彼は大切にしていたペンダントを盗まれてしまう。
同じ頃、ベルギーに留学していたインド人女性のジャグー(アヌシュカ・シャル)はパキスタンの青年サルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)と恋に落ちる。だが、インドとパキスタンは歴史的に仲が悪い。さらに、ジャグーの一家はヒンドゥー教の導師(サウラブ・シュクラ)を信じていたが、サルファラーズはイスラム教徒で、家族も導師も大反対。導師はサルファラーズが裏切ると預言をして、その通り、結婚の約束をした教会に彼は現れず、ジャグーは失意のまま故郷に帰る。
インドのテレビ局記者になったジャグーは、町で「神様が行方不明で探しています」とのビラを配っているPKを見かけて、記事にならないかと声を掛ける。PKの語った話は奇想天外の物語だった…。
【感想】
PKの正体は映画では冒頭に明らかにされているのですが、公式サイトのストーリーでは伏せてあるので、このブログでも伏せます。でも、感想ブログの多くは明らかにしているので、気になる人はググッてください。
それはさておき、PKとは「酔っ払い」という意味。PKは言葉もお金も服も知りませんでしたが、インドに来て覚えます。しかし、彼にとって社会は複雑すぎ。あまりにも純真、素朴で、何でも質問してしまう彼を周囲はPKと呼んだのでした。彼は警察にペンダントを取り返してほしいと訴えますが、警官は「神に頼め」というのでした。そこで、PKは神様に頼もうとしたのですが、ヒンドゥー教、キリスト教、仏教、イスラム教、シーク教など、神様はたくさんいます。
しかも、神様によって考えは全然違う。キリスト教の教会で、ワインを捧げるのを見たPKは、喜び勇んでワインを買って、イスラム教のモスクへ行きました。しかし、イスラム教ではアルコールは厳禁で、信者からボコボコにあいます。どの神様に頼めばいいのか。そんな彼は、ジャグーとの出会いであることに気づきます。
一方、ジャグーも最初はPKのことを頭がおかしいと見ていましたが、次第に、彼の素朴な質問が世の中を変えるのではと期待していきます。宗教や国の違いで失恋した彼女にとって、PKの素朴な疑問で宗教の欺瞞を明らかにするのは、使命と感じたのでした。さらに、純粋すぎるPKと次第に心が通っていきます。ただ、PKは彼女に恋心を抱くのに、失恋の結果仕事の鬼となったジャグーは気がつかないというすれ違いも、恋愛映画ぽくて良かったです。
宗教をテーマにしたからといって小難しい映画ではなく、踊りも笑いもふんだんにあります。例えば、インドでは踊る車がお金をくれるのですね。これには爆笑しました。また、特定の宗教を誹謗するのでなく、PKが持つような素朴な疑問はだれしも持っているはずです。なぜ愛と平和を唱える宗教が、殺し合いをしているのか。その秘密は何なのかというのが明らかになっていきます。宗教関係が複雑なインドで大ヒットしたというのは、多くの人がおかしいと思っても口に出せなかったことを、PKという純粋な存在が素朴な疑問としてあげたからではないでしょうか。
アーミル・カーンは耳を大きくして、撮影中はまばたきをしなかったそう。彼のとぼけた演技が重いテーマもエンタメとして楽しませてくれます。また、インド映画では珍しくショートカットのヒロイン、アヌシュカ・シャルは健康的なボインちゃんで、アクティブな映画にぴったりでした。個人的には「きっと、うまくいく」よりも面白く、インド映画では一番良かった作品になりました。
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