作品情報 2015年アメリカ映画 監督:ロバート・バドロー 出演:イーサン・ホーク、カーメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー 上映時間:97分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2016年劇場鑑賞284本目
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【ストーリー】
1950年代、チャーリー・パーカーに見いだされて、ロスで大人気の白人ジャズトランペット奏者のチェット・ベイカー(イーサン・ホーク)は、意気揚々とニューヨークに乗り込む。だが、マイルス・デイビス(ケダー・ブラウン)らに酷評され、自信を喪失。薬物にのめりこんで見る影も失ってしまう。
10年後、イタリアの刑務所に収監されていたベイカーは、復帰の足がかりとなる映画出演が決まる。ところが、共演の女優、ジェーン(カーメン・イジョゴ)とのデートの最中、麻薬を巡るトラブルでトランペッターの命ともいうべき前歯を全部おられ、映画も中止になってしまう。芸能界を追放され、ガソリンスタンドの給油係までなったが、ジェーンの支えもあり、麻薬をたち懸命に演奏に励むチェット。一時は見捨てられたプロデューサーのディック(カラム・キース・レニー)も彼を見直し、復帰が決まったかにみえたのだが…
【感想】
ジャズの独特の雰囲気もあり、非常にムーディーな作品です。1950年代はモノクロで、1960年代はカラーで撮影しているのも効果的。チェットを支えるジェーンの愛と、ミュージシャンとしての業のようなものが非常に印象的な作品でした。
当時、ジャズは黒人のものであり、チェットはアイドル的な人気があっても、マイルスのような重鎮からは軽んじられていました。その屈辱が麻薬へと向かってしまうというのは、なんとも切ない。才能はあったわけですから、時代というのも大きかったのでしょう。
しかも、前歯を折られて、映画も中止になった彼に手をさしのべるのはジェーンだけ。それでも、愛する人が支えてくれるというのは人間にとってどんなに心強いでしょう。ジェーンと一緒に故郷のオクラホマの農村に帰ったチェットと両親のやりとりというのも、アメリカの心の故郷はこういう田園地帯にあるのだと、しみじみとさせられますし、いかにもぶっきらぼうな父親(スティーブン・マクハーティ)が、題名にもなった名曲「Born to Be Blue」が好きだったというエピソードも心にしみいります。
そして、何とか復活を果たそうとするチェットですが、思わぬ事態が巻き起こります。晩年の謎の死も含めて、ドラマティックな人生を送ったチェットですが、基本的に、1973年のマイルスとの再会までエピソードを絞っているのがいい。
また、ジャズの名曲の数々も本当に渋い。ジャズはあまり詳しくないのですが、当時のファッションや自動車など美術も含めて、たっぷりと雰囲気にひたれる作品でした。
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