2016年12月22日

海賊とよばれた男

 戦後日本の復興を石油で支えた出光興産の出光佐一をモデルにした百田尚樹のベストセラーを映画化。日本の近現代史をささえた男たちの行動に熱くなる一方、2時間半近くあってもかなりダイジェストで飛ばしすぎた感もあり、もう少し脚本を練ればより名作になったかも。

 作品情報 2016年日本映画 監督:山崎貴 出演:岡田准一、小林薫、綾瀬はるか 上映時間:145分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日本橋 2016年劇場鑑賞286本目



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 【ストーリー】
 九州・門司で石油の販売業を始めた青年、国岡鐡造(岡田准一)は、関門海峡を渡って下関沖の漁船に石油を売りつける常識破りの商法で「海賊」と呼ばれた。その破天荒さと商売に対する熱意、従業員を家族として思いやる姿は、大企業になっても生涯変わらなかった。

 兄(光石研)の紹介で、同郷のゆき(綾瀬はるか)と結婚したあとも、仕事一筋の生活は変わらない。満州に石油を売りにいった鐡造は、アメリカの石油メジャーと衝突する。太平洋戦争が始まると、石油を統制する国策会社の石統の鳥川社長(國村隼)のあこぎなやり方に腹を立て、独自の路線を歩む。やがて敗戦となり、会社は存亡の危機に陥るのだが…

 【感想】
 仕事にすべてをなげうって日本の近代化と復興を捧げた姿をみると、ブラック企業問題とは、結局、やりがいがあるかどうかということなのかなと思ってしまいます。命の危険を顧みずに戦時中、南方へ渡った若手社員(染谷将太)。拿捕しようとする軍艦に突っ込む船長(堤真一)、まさに命にかえて倒れるまで働く昭和の男達。今の時代にはそんなことをしたらブラック企業として大炎上しそうですが、当時はそれが当たり前であり、だからこそ高齢者には労働問題が理解されないのだろうな、と映画とはちょっと離れた感慨にふけりました。

 油の一滴が血の一滴といわれ、日米開戦も直接的には石油問題が絡んでいるわけですから、彼らの浮沈は文字通り国家を左右したわけです。そういうスケールの大きい物語を、現代の観客にもわかるように、うまく映像化しました。SFXは邦画にしては合格でしょうか。

 ただ、国岡の波乱の生涯を2時間にまとめようとしただけに、全体的にもう少しメリハリがほしかった気がします。とくにゆきに関する部分は、非常にもったいなかった。全部削るか、じっくり描き出すかどちらかにすれば、話の流れとしてつたわったでしょう。

 岡田は青年時代から晩年まで、メイクもはまってるし、演技でも年の積み重ねをうまくだしていました。個人的には山崎貴監督と組んだ前作の「永遠の0 」よりも幅広い演技がでていたと思います。また、小林薫、吉岡秀隆、野間口徹といった国岡を支える部下達の演技も、一歩引いた感じで魅力的。

 ただ、国岡の波乱の生涯を2時間にまとめようとしただけに、全体的にもう少しメリハリがほしかった気がします。とくにゆきに関する部分は、非常にもったいなかった。全部削るか、じっくり描き出すかどちらかにすれば、話の流れとしてつたわったでしょう。
posted by 映画好きパパ at 06:58 | Comment(0) | TrackBack(11) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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