2016年12月28日

フィッシュマンの涙

 魚人間という奇想天外な発想をもとに、韓国社会の諸問題を風刺しました。でも何より、キモカワイイ魚人間のデザインが印象的。映画館には大学生が作った魚人間コラボの造形が飾られており、せっかくなので、若い大学生達がこの映画をどんなふうにみた聞きたいところでした。

 作品情報 2015年韓国映画 監督:クォン・オグァン 出演:イ・グァンス、イ・チョニ、パク・ボヨン 上映時間:92分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2016年劇場鑑賞289本目



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 【ストーリー】
 記者志望の青年サンウォン(イ・チョニ)は面接を受けたテレビ局で、おかしな投書が届いたので、それをうまく取材できたら採用してやるといわれる。それは、「私の恋人は魚人間です」という内容で、ネットでは真偽をめぐって騒ぎが起きていた。

 投書主のジン(パク・ボヨン)を訪れたサンウォンは、彼女と一夜をともにした青年パク・グ(イ・グァンス)が製薬会社の治験を受けたところ、副作用で世にも奇妙な魚人間に変化してしまったと訴える。2人は会社の研究所に潜り込み、魚人間を発見。スクープ映像はたちまち世間で大騒ぎになった。

 【感想】
 魚か人間か分からない不思議な存在。見たこともない生物だけに、見る側の主観で神の使いにも悪魔の化身にもみえます。貧しさゆえに、高額な報酬につられて治験に参加してしまった可哀そうな現代の青年という見方もあれば、北朝鮮が韓国社会に送り込んだスパイという見方もでてきます。魚人間自身が、前半では感情をあまり出さないだけあり、余計、世間は勝手に決めつけ混乱を起こします。

 周囲の人間も、彼を利用しようと考えます。サンウォンはあこがれのテレビ記者になるために、自分の身元を黙って、魚人間をテープにおさめます。ジンも金もうけのため、製薬会社に魚人間を売りつけたドライな女。さらに、賠償金ばかりほしがるパク・グの父親(チャン・グァン)、ノーベル賞ものの発見と人体(魚体?)実験を繰り返す製薬会社のピョン博士(イ・ビョンジュン)、売名を狙う人権派弁護士(キム・ヒウォン)などなど。それぞれが欲でうごき、それがいかにも実際の欲望に弱い人間らしいところが秀逸です。韓国映画お得意の大企業の陰謀も、結局のところ一人一人の欲望が原因というのが、非常にドライな観察眼を感じさせます。

 しかし、人間は悪いところもあれば良いところもあります。孤独で世間からつまはじきにされる魚人間をみて、周囲も変化していきます。そこも、またいかにも人間らしい。そして、終盤になって、魚人間が何を考えていたのかがわかると、これまた、生きづらい現代の韓国社会の若者像が浮き彫りになります。恐らく、日本でも若い世代の閉塞感は似たようなものではないでしょうか。

 といっても、小難しい話ではなく、クスリと笑える箇所も何回もありました。全編を貫くもの悲しさだけでなく、最後の登場人物達の行動に、一服の清涼剤のようなさわやかさがあります。韓国映画なのに抑制されたタッチは、名匠イ・チャンドンが制作総指揮だからなのかな。
posted by 映画好きパパ at 06:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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