2016年12月29日

こころに剣士を

 第二次大戦中、ソ連とドイツという大国に翻弄されたエストニア。そこで懸命に生きる人々の悲しい運命と生きる強さをフェンシングを通してみるヒューマンドラマです。上映時間が短いので、ちょっと物足りないかも。今年の映画鑑賞はこれで終了です。

  
 作品情報 2015年フィンランド、エストニア、ドイツ映画 監督:クラウス・ハロ 出演:マルト・アヴァンディ、ウルスラ・ラタセップ、ヨーナス・コッフ 上映時間:99分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2016年劇場鑑賞290本目



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 【ストーリー】
 1952年、エストニアの田舎町ハープサルの学校に新任の体育教師、エンデル(マルト・アヴァンディ)が赴任してきた。優秀なフェンシングの選手だった彼は、大戦中にドイツへ協力したとして、ソビエトの秘密警察に追われていた。そのため、名前を変えて、田舎町へ身を隠しに来たのだ。

 子供が苦手だったエンデルに、体育教師にくわえて、部活の顧問になるように命じられる。たまたま、体育館でフェンシングの練習をしていたところ、女子生徒のマルタ(リーサ・コッペル)に見付かってしまい、フェンシング部を作ることになってしまう。戦争や粛正によって若い男性が少ない町で、ほかに体育の部活はなく、大勢の生徒がフェンシング部に入部。瞳を輝かせて、熱心に練習する。やがて、レニングラードで全国中学校フェンシング大会が開かれるという記事が新聞にのり、子供たちは出場すると大はしゃぎ。だが、大会に出ることは、秘密警察に追われているエンデルにとって、あまりに危険なことだった…

 【感想】
 フィクションだと思ったら、実は元にした物語で、フェンシング部は今も続いていると言うからびっくりです。しかし、なにより、戦争によって運命を狂わされたエンデルのような人が大勢いたことに思い当たります。エンデルは好きでドイツに協力したのではなく、町が占領されたので、学校ごと協力するはめになりました。しかし、ソ連に支配された戦後のエストニアではそんなことは理由になりません。見付かれば重い刑を科せられます。

 これまでの逃亡生活の苦労もあり、最初はだれも信じず、子供たちも苦手だったエンデル。しかし、父親が戦死したり粛正された子供たちにとって、教師のなかで唯一若い男性教師であるエンデルは父親代わりでした。どれほど厳しい練習でもへこたれず必死に剣を振るうとともに、尊敬のまなざしをむけ続ける姿に、エンデルの凍った心もとけていきます。

 さらに、エース選手のヤーン(ヨーナス・コッフ)の祖父(レンビット・ウルフサク)ら、町の人たちともうちとけていきます。同僚の女性教師、カドリ(ウルスラ・ラタセップ)とも、惹かれ合うようになります。しかし、そんなささやかな幸せなど簡単に壊われてしまう時代でした。

 今までのエンデルでしたら、また次の町へと逃げていったでしょう。しかし、子供たちやカドリと紡いだ絆を見捨てるわけにいきません。さらに、子供たちにとっても、全国大会出場で自信をつけさせなければならない事情もでてきました。危険と分かっていながらも、全国大会出場のため、子供たちを引率するエンデルは人間として立派すぎて、僕にはとてもできないなあ。

 初出場の田舎の学校が全国大会で活躍するというのも史実かどうか分かりませんが、映画の後半を大いに盛り上げてくれます。同時に、秘密警察の影もみえ、エンデルか無事かどうかも気になります。けれども、抑制したタッチで終始し、ある意味、これも大きな時代の流れにさからえず、受け入れるしかない、名もなき庶民の姿と考えれば「この世界の片隅に」に通じるところがあるのかな、と思ってしまいました。

 フェンシングはまったく詳しくないけど、子役も熱心に練習したのか、素人がみても、激しい試合の連続で見応えがあります。ただ、ソ連の学校制度がよくわからないのですが、ちっちゃいマルタとティーンエージャーのヤーンが同じチームというのが、何となく不思議な気がしました。
posted by 映画好きパパ at 07:22 | Comment(0) | TrackBack(5) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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