2017年01月07日

ワイルド 私の中の獣

 味気ない生活を送っていたOLが、オオカミとの思いも寄らない出会いから自分の中の野生を取り戻していく異色のドイツ映画。なんかの比喩でなく、完全に本物のオオカミだから、ちょっとびっくりしました。
  
 作品情報 2016年ドイツ映画 監督:ニコレッテ・クレビッツ 出演:リリト・シュタンゲンベルク、ゲオルク・フリードリヒ、ザスキア・ローゼンダール 上映時間:95分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿シネマカリテ 2017年劇場鑑賞2本目



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 【ストーリー】
 地味なOLのアニア(リリト・シュタンゲンベルク)は、職場では目立たずからかいの対象で嫌みな上司のボリス(ゲオルク・フリードリヒ)からは軽くパワハラを受けている。親代わりの祖父は植物状態で入院。派手に男遊びをする妹ジェニー(ザスキア・ローゼンダール)にも、小馬鹿にされていた。そんなアニアは友達もおらず、家と職場を往復し、たまにクレー射撃でストレスを発散する日々だった。

 ある日、住んでいる団地のそばの大きな公園でオオカミを見つけたアニア。最初は半信半疑だったが、やがてオオカミの存在を確信した彼女は、伝統的な猟法でオオカミを生け捕りにして、団地の自分の部屋に連れて帰る。最初は敵対していたオオカミだが、やがて禁断の関係に…

 【感想】
 R15って、実はオオカミが人間を襲いまくるホラー映画的なシーンを想像していたら、まさかの官能的なシーンで絶句。野性味あふれる男に抱かれたいという映画は何本も見てきたけど、まさか自分が野生になっちゃうとはねえ。前半の機械のような味気ない生活を描いている分、後半に反動がいっきにきたということでしょうけど。

 虫も殺さないような大人しい生活をしていた彼女がオオカミ捕獲のためにあの手この手をつかうのが、結構笑えます。生きたウサギをおとりにして「グッドラック」とクールに伝えるところなんか、僕はウサギを飼っているにもかかわらず、思わず笑ってしまいました。

 そして、野生的というと聞こえはいいけれど、部屋はオオカミの糞尿まみれだし、食い散らかしたウサギのカスはあるし、人間の文明と全く違うオオカミと同化するというのは、絶対僕にはできなさそう。それをしたから、オオカミもアニアを対等のメスとしてみたのでしょうけど。ちなみに、CGはいっさいつかわず、本物のオオカミを使ったそうで、結構エロティックなシーンなんか、いくら飼い慣らされている撮影用の動物とはいえ、リリト・シュタンゲンベルクの女優魂はすごいな。

 一方、対照的に野性味ではダメダメに描かれているのがボリス。会社の上司でちっちゃな権力を振り回していて、パワハラ、セクハラっぽい行動をするのは、美しいメスのアニアとやりたいからというのはみえみえ。しかし、いざ、オスとしての力を比べるとオオカミに全くかなわないわけですから、余計、小物で哀れに見えてしまいました。

 アニアと対等になったせいか、オオカミがそれほど怖く見えなかったのと、そもそもリリトが美人すぎる女優なので、汚いシーンもそれなりに美しく見えたのは不思議かも。ドイツ映画らしい、彩度を抑えた陰鬱な映像も続くし、こういう変わり種の設定もたまには悪くないかもと思いました。
posted by 映画好きパパ at 07:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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