2017年02月13日

沈黙−サイレンス

 信仰をめぐる遠藤周作の名作を30年近くかけてマーティン・スコセッシ監督が映画化。長時間、真面目でアメリカになじみが薄い題材のため、オスカー候補は逃しましたが、昨年のアメリカ映画を代表する作品といっていいでしょう。

 作品情報 2016年アメリカ、イタリア、メキシコ映画 監督:マーティン・スコセッシ 出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライヴァー、イッセー尾形 上映時間:162分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日本橋 2017年劇場鑑賞25本目



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 【ストーリー】
 17世紀、島原の乱後の日本ではキリスト教徒は見付かれば死刑になり、厳しく弾圧されていた。イエズス会の神父フェレイラ(リーアム・ニーソン)は日本に潜入したまま行方をたち、弟子のロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルベ(アダム・ドライヴァー)は周囲の反対を押し切り、日本に渡る。

 マカオで漂流民の日本人キチジロー(窪塚洋介)と会った2人は、長崎の隠れキリシタンの村に潜入する。信仰を通じて村人たちと親しくなるが、キリシタン弾圧の責任者である長崎奉行の井上(イッセー尾形)に存在をしられてしまい…

 【感想】
 海外で日本を舞台にすると変な時代描写が多いのですけど、さすがはスコセッシ監督。ポルトガル語ではなく英語ということを除けば、当時の長崎を見事に再現していましたし、イッセー尾形、窪塚、浅野忠信ら日本人キャストの日本語場面も完璧でした。また、農民達の汗と泥にまみれた農民達の描写で、奉行所の侍たちの清潔感との差別化も、なまじの日本の時代劇よりもリアルに感じさせられました。

 信仰と人間愛のどちらを優先するかという重いテーマに加え、斬首、火あぶりなど当時の残酷な刑が延々と続きます。そうしたなかでも、信仰を捨てない隠れキリシタン達の思いというのはどこにあるのか。信仰の自由が当たり前の今の日本人からは想像しづらい。

 井上も単に悪辣な人物に描くのではなく、踏み絵も形だけでいいと信徒にいうなど一見、外面は包容力のあるキャラクターにしています。見ているこちらも、踏むぐらいいいではないかと思うのですが、弾圧されてピュアになった分、信徒の思いは凝縮されているのでしょう。殉教すれば天国にいけるという教えもありますし。

 ロドリゴが現在の人間に通じるような感覚を持っている分、余計、信仰とは何かを考えさせられます。また、井上も、通訳(浅野)も頭がいい。仏教もキリスト教もともに人間を幸せにする教えであり、だったら、日本の風土に合わないキリスト教でなくてもいいではないかという井上たちの説得は、今みても論理的な考えです。

 もともと徳川家康は一向宗に苦しめられ、狂信的な宗教を排除しようとしてましたし、豊臣秀吉以降は、日本への侵略の手先になりかねないキリスト教を警戒するというのは、当時の為政者としてはやむを得ないでしょう。ただ、現場の貧しい百姓たちが苦しめられているのを見ると、政治と民衆の乖離という現代でも通用するテーマを考えさせられるのです。、

 アンドリュー・ガーフィールドは難しい役を、文字通り体当たりでよくこなしました。彼自身の信仰に対する考えがどうだったのか聞いてみたいところ。日本人キャストでは、小松菜奈のような若手から、イッセー尾形、浅野といったベテランまで、見事な演技を堪能できました。
posted by 映画好きパパ at 07:01 | Comment(0) | TrackBack(12) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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