2017年02月27日

エリザのために

 ルーマニアの名匠クリスティアン・ムンジウ監督が撮った社会派の問題作でカンヌ映画祭監督賞受賞作。コネ社会の腐敗は日本の昭和40年代の映画を想起しましたが、今後、ルーマニアでも、こうした問題は少なくなっていくのでしょうかね。

 作品情報 2016年 ルーマニア、フランス、ベルギー映画 監督:クリスティアン・ムンジウ 出演:アドリアン・ティティエニ、マリア・ドラグシ、ヴラド・イヴァノフ 上映時間:128分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿シネマカリテ 2017年劇場鑑賞34本目



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


 【ストーリー】
 ルーマニアの警察病院の医師ロメオ(アドリアン・ティティエニ)は、娘のエリザ(マリア・ドラグシ)がイギリスのケンブリッジ大学留学を決め、大喜び。だが、高校卒業試験の前日の朝、ロメオはエリザを高校に送っていったのだが、愛人のところにいくため、手前で下ろしてしまう。

 ところが、エリザは男に暗い工場現場に引きづりこまれ、襲われてしまう。最悪の事態は避けられたが、腕と心に深いを傷を負って、試験どころではない。ロメオは娘のために、なんとしても犯人を捕まえ、娘の留学を成功させようとするのだが。

 【感想】
 ハリウッド映画だと、お父さんが探偵顔負けに町を回って、犯人をぶちのめすのでしょうけど、冴えない中年医師のロメオにはそんな腕力はありません。しかし、警察病院の医師であることを利用して、警察署長(ヴラド・イヴァノフ)から捜査資料である街頭の監視カメラをみせてもらったり、試験を受けなくても良い成績が付くように、副市長や教育委員長を紹介してもらったり、地位を利用してうごいています。でも、哀しいかな、監視カメラをみてもだれが犯人か分からず、これまで誠実にいきていたのに、有力者の腐敗ネットワークに取り込まれることになってしまいます。

 かつては、日本でも上層部はコネ、貸し借りで動いていました。ルーマニアは今もそのようで、ロメオはエリザのためになりふりかまわず、裏口入学のような手段を探します。しかし、本人が熱心に有力者を回れば回るほど、家族からは白い目でみられます。娘を思う親心と、汚いことを嫌う娘の純真さのすれ違いがなんとも痛い。

 しかも、偉そうなことをいうけれど、愛人宅にいりびたっていたことが、事件の原因の一つになっているわけです。娘の留学が決まり、ルーマニアだったら、それなりに幸せだった家族が、事件をきっかけにどんどん崩壊していく様子は、ロメオ一家が住んでいる団地が象徴するように、薄ら寒い。それを淡々と抑えた描写で続けていくので、ちょっとしんどくなりました。それでも、こうした映画こそが、上質な大人の作品といえるのでしょうね。

 アドリアン・ティティエニは初見の俳優ですが、ルーマニアでは有名だそう。冴えない中年男のまま、最後まで右往左往して、本人の善意が家族のきずなを壊していく様子を好演していました。マリア・ドラグシはドイツの若手女優のホープで母がルーマニア人のため、この映画に出演したそう。これからが楽しみな女優です。
posted by 映画好きパパ at 06:47 | Comment(0) | TrackBack(2) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

エリザのために
Excerpt: 朝、ルーマニアの医師ロメオは車で娘エリザを学校へ送っていくが、構内に入る手前で降ろすことになった。 ところが、白昼人通りもある中で、エリザは暴漢に襲われてしまう。 大事には至らなかったものの、翌日エリ..
Weblog: 象のロケット
Tracked: 2017-03-15 17:53

娘のため父は不正を厭わぬ
Excerpt: 30日のことですが、映画「エリザのために」を鑑賞しました。 医師ロメオは留学を控える娘のエリザが登校中に暴漢に襲われてしまう エリザのショックは大きく ロメオは留学試験に支障が出るのではと考える 何..
Weblog: 笑う社会人の生活
Tracked: 2017-07-04 07:44