作品情報 2016年日本映画 監督:石川慶 出演:妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介 上映時間:120分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日本橋 2017年劇場鑑賞40本目
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【ストーリー】
週刊誌記者の田中(妻夫木聡)の妹、光子(満島ひかり)が児童虐待で逮捕される。その心配を払うように、田中は、1年前に住宅街で起きて未解決のままの一家殺人事件の調査に力を入れていた。
被害者の夫の浩樹(小出恵介)は一流私大出のエリートビジネスマン。同じく一流大学を出た妻の友季恵(松本若菜)も仲むつまじく、幼い娘をかわいがっていた。だが、田中は2人の友人、知人を取材するうちに、隠されていた彼らの実像をしるようになる。一方、光子は不幸な生いたちに原因があったのではないかと、精神鑑定を受けるようになる。
【感想】
大学名は架空にしていますが、慶応大の内部進学生と大学に入って慶応大に入った人の確執がモチーフの一つになっています。そういうのはあるだろうけど、正直、慶応大に関係していないのに興味がないし、登場人物の一人が「日本は格差社会でなく階級社会だ」というけれど、たかだか、慶応大の内部進学で階級というのは、いくらなんでもいいすぎという気がしました。
いくら貧乏な家庭出身でも、慶応大に入れた時点で、十分勝ち組の資格を得られるのが今の日本だと思いますけどねえ。まあ、どこまでの勝ちを望むのかによって違うのでしょうけど。また、エリートだからクズというわけでもなくて、クズがエリートだっただけなのに、なんかエリートすべてがクズというような印象操作も感じられた気がします。脚本は秀作の多い向井康介だけに、ちょっと惜しかったかな。
ただ、冒頭のバスの中をカメラがなめるようにパンしていくシーンが、ラストにも繰り返され、この映像をみるだけで、長編デビューとなった石川監督の独特のセンスを感じさせられました。撮影は石川監督がポーランドに留学していたときの友人のビオトル・ニエミイスキで、ありふれた日本の風景が、外国人カメラマンだとこれだけ異質に感じるのかと、不思議な気も受けました。
演者のなかでは満島が実によかった。最近の満島って、うまいのだけど、独特の発声、呼吸のタイミングが感じられるのですけど、本作の場合、普通にうまく、癖を感じませんでした。また、妻夫木、小出は、演技レベルが高いのが当然として、松本のお嬢様っぽさと天然の毒みたいなのが実にうまくでていて、それほど知名度のある女優ではないですが、思わぬ拾い物をした感じでした。
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