2017年03月10日

たかが世界の終わり

 フランス映画界の豪華俳優共演で家族の葛藤を描いて、カンヌのグランプリを受賞しています。ただ、僕自身は登場人物の心理が理解しがたくて、なんで世評がこんなに高いのか良く分かりませんでした。


 作品情報 2016年カナダ、フランス映画 監督:グザヴィエ・ドラン 出演:ギャスパー・ウリエル、ヴァンサン・カッセル、マリオン・コティヤール 上映時間:99分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2017年劇場鑑賞41本目

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 【ストーリー】
 人気劇作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)は、不治の病に侵され死期が近いことから12年ぶりに故郷に帰る。母のマルティーヌ(ナタリー・バイ)と、幼い頃に別れたきりの妹シュザンヌ(レア・セドゥ)は大喜びする。

 だが、兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)は不機嫌で、その妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)は不穏な家族関係を気にしながらも、何もできなかった。家族になかなか自分の病気のことを打ち明けられないルイだったが…

 【感想】
 故郷を捨てて都会にでて大成功した弟への嫉妬、羨望ともはや異物の登場によって奏でられる不協和音。いいたいことは何となくわかるのですが、日本とフランスの文化の差もあるでしょうけど、西川美和監督の「ゆれる」と比べると、ちょっと理解しがたかったな。

 大体、マリオン・コティヤールのような美人を妻にして、好き放題いえるだけで、人間として十分勝ち組であり、恐らく、田舎の偏見まみれなアントワーヌからすると、オスとしては十分ルイに勝っているわけで、同じオスである僕も、なんで勝ち組のアントワーヌが不機嫌なのか理解ができません。

 また、それ以外の家族も全員躁鬱かと思うほど、機嫌と不機嫌の落差が激しい。唯一、外部から来た存在であるカトリーヌだけが、すべて客観的にみているのだけど、あきらめの境地なのか、深くものごとにかかわろうとしません。そうすると逆に、なんで今時のフランス美人がこんな躁鬱的でわがままな夫に尽くすのかというのも、不思議な感じです。

 また、シュザンヌにしてもそうで、アントワーヌは長男だから家に捕らわれている自分に対して複雑な気持ちはあるのだけど、若い娘だからいくらでも飛び出す方法があるだろうに、彼女もなんで家にとらわれているのか。逆に今のフランスも田舎にいけば、昔の日本みたいなところが残ってるのでしょうかね。

 原作が戯曲で会話がメインのストーリーなので、名優の共演で表情、仕草などは見応えがあったし、若き天才グザヴィエ・ドラン監督らしい、ライトワークや、カットバックのように会話中に次々に家族の表情をみせていくみせかたはすごいと思ったのですが、最後まで物語りに入り込めませんでした。
posted by 映画好きパパ at 07:11 | Comment(0) | TrackBack(5) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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