2017年04月12日

ムーンライト

 ラ・ラ・ランドを破ってアカデミー賞作品賞を受賞したのですが、上質な小品という感じで肩すかしをくった感じ。トランプ政権になり、LGBTや人種問題にハリウッドがセンシティブになったのが追い風になったのでしょう。

 作品情報 2016年アメリカ映画 監督:バリー・ジェンキンズ 出演:トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ 上映時間:111分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2017年劇場鑑賞66本目 



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 【ストーリー】
 貧しい黒人少年のシャロン(アレックス・ヒバート)はシングルマザーで麻薬中毒の母ポーラ(ナオミ・ハリス)と2人暮らし。体も小さく「リトル」と呼ばれるシャロンは周囲からいじめられている。偶然知り合った麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ)と恋人のテレサ( ジャネール・モネイ)は息子のようにかわいがるのだが、それがもとでポーラとの仲が険悪になる。

 10代になってもシャロン(アシュトン・サンダーズ)はいじめられっ子のままで、フアンも亡き後、ケヴィン(ジャハール・ジェローム)だけが友人だった。ある晩、ケヴィンにたいして親友以上の感情を抱いていることに気付いてしまう。ところが…

 大人になり、遠く離れたアトランタで暮らすシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は筋骨隆々の大男になっていた。そこへある事情から音信不通になっていたケヴィン(アンドレ・ホランド)から電話が入る…。

 【感想】
 原案のタレル・アルヴィン・マクレイニーと監督、脚本のバリー・ジェンキンズともに、マイアミの黒人街の出身で、ロケ地もそこになりました。2人の生まれ育った雰囲気がよくわかります。そこへ麻薬、貧困、黒人、LGBTと多くの苦労が重なり、体も小さくてやせっぽちなシャロンを主人公にしたのは、取り残されたアメリカのなかでも最も弱者をとりあげたということでしょう。制作陣の視点がよく伝わってきます。

 孤独なシャロンはフアンやケヴィンのおかげで、家族愛も含めて愛というものを知ります。特にフアンとの関係は、父親のいないシャロンはどんなにうれしかったことか。フアンも危険な仕事で明日をも分からない緊張が続くだけに、シャロンと過ごす時間こそが救いだったことが、大人である観客にもよくわかります。

 しかし10代後半になって、そうした絆とも切り離された彼にとり、ケヴィンからの久々の電話は過去へ引きずり戻すことでもあり、同時に、いつしか失った人を愛する優しい心を思い起こさせるものでもありました。まるで壊れそうに繊細だった少年は、大男になっても、人の内面の核のような部分は変わらないのでしょう。

 そのシャロンの揺れ動きつつ成長している様子を、子役から大人まで3人のタイプの違う俳優が演じています。しかし、一人の人間にとって、周囲とのかかわりがどれほど大切かというのが良く分かります。まさに心を打たれる作品といえましょう。

 監督がロケ地のマイアミの良さをしっていることで、撮影、美術の面でも完璧です。タイトルとなっているムーンライトの幻想的なイメージは、忘れることができません。まさに愛おしい作品なんですが、それゆえに、アカデミー作品賞というのとはちょっと違うような気もします。大騒ぎされるより、ひっそりとした作品にしたほうが良かったのになという気がして鳴りません。
posted by 映画好きパパ at 07:04 | Comment(0) | TrackBack(8) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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