2017年05月28日

マンチェスター・バイ・ザ・シー

 ケイシー・アフレックがオスカーを取った話題作。抑制された筆致で心に傷を負った男を描くというのは、「ムーンライト」に通じるものがありました。何かと騒がしいアメリカはこういう落ち着いた映画を求めているのですかね。

 作品情報 2016年アメリカ映画 監督:ケネス・ロナーガン 出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、ルーカス・ヘッジズ 上映時間:137分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2017年劇場鑑賞88本目



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 【ストーリー】
 心に傷を負い、故郷のマンチェスターを捨ててボストンで便利屋をしているリー(ケイシー・アフレック)は兄のジョー(カイル・チャンドラー)が亡くなったという知らせを聞き、久々に故郷に戻る。リーは遺言で、ジョーの16歳の息子、パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人を頼まれた。

 ジョーの妻エリーズ(グレッチェン・モル)はだらしのない性格で失踪しており、リーは幼いパトリックを可愛がったものだった。しかし、友達も恋人もいるマンチェスターを離れたくないというパトリックに、戸惑ってしまう。一方、リーは葬儀の件で久々に別れたの元妻のランディ(ミシェル・ウィリアムズ)に連絡をとることになる。

 【感想】
 マンチェスター・バイ・ザ・シーで町の名前だそうで、ボストンから車で1時間半ほどの人口5000人の小さな町。海に面した風景はきれいですが、この規模の田舎だと、人間関係のウェットさが大変なのは洋の東西とも変わりません。

 リーが心に傷を負い、世捨て人みたいな生活を送っている一方、パトリックは母に捨てられたうえ、父の死去という不幸が見舞われますが、友人も恋人もいて、リア充生活を過ごしています。しかし、それはあくまでも心の傷を覆うためのものであり、高校生にこれだけの不幸は酷だというものでしょう。しかも叔父は世捨て人のうえ、生まれ故郷を捨てた人間なわけですから。

 予告編の想像と違って、心に傷を負った者同士がふれあって、人間的に成長していくと思いきやそんなことありません。人間には乗り越えられることも乗り越えられないものもあり、大人だから耐えられるということでもありません。こうした、心のひだを丹念に紡ぎ出しており、非常に抑制された描写は、観客によって向き不向きがあるでしょう。

 ただ、人間が突然の不幸にどれだけ耐えられるのかということが、心にしみいるように伝わる誠実な作風は、評価します。僕自身、リーのようなことが起きたら、きっと自殺してしまうかもしれないなあ。それでも人間は簡単に自殺できず生きていく。そんな感じをうけました。

 ケイシーはオスカー受賞も納得の演技。最近の主演男優賞は割と派手な演技をする人が多かったけど、本作のケイシーは本当にうまいなと思わされました。また、ミシェル・ウイリアムズは大金持ちのお嬢様なのに、「ブルーバレンタイン 」とか「フランス組曲」とかこういう貧しく心に棘のささったような役柄はうまいですね。また、20歳にして大役を射止めたルーカス・ヘッジズも今後が楽しみな役者でした。
posted by 映画好きパパ at 07:36 | Comment(0) | TrackBack(11) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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