2017年06月08日

メッセージ

 予告編からみて、宇宙人とのファーストコンタクトものと思い、実際その通りなんだけど、見終わってみれば生きることの意味や家族とは何かといった哲学的命題を考えさせられる傑作。オスカーは音響賞しかとれなかったのはとても残念です。

 作品情報 2016年アメリカ映画 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー 上映時間:116分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2017年劇場鑑賞92本目



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 【ストーリー】
 世界12カ所に巨大な飛行体が飛来してきた。飛行体は静止したままだが、世界中はパニックに。言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は米軍のウェバー(フォレスト・ウィテカー)大佐から要請を受け、異星人とコミュニケーションをとることを求められる。

 物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)らと協力して、飛行体に近づき、特殊な壁越しに異星人との会話を試みる。異星人の言葉は最初はまったく理解できなかったが、ルイーズの活躍や各国が協調したことで徐々に解読が進んでいく。だが、中国が異星人を追い払うべく攻撃準備に入ったことがわかり、各国は疑心暗鬼に陥ってしまう。

 【感想】
 もしも宇宙人が本当に現れたらファーストコンタクトはこんな感じで行われるのかもしれません。少なくとも、地球に外宇宙から飛来した異星人が侵略を始めるけど撃退されるというのは、彼我の科学技術力の差から考えれば絵空事にすぎません。それよりも、双方とも知的生物なのだから、コミュニケーションをとろうというのは理解できます。

 それと同時に、人間の世界を振り返ってみても、力のないものは力あるものに蹂躙されたわけです。大航海時代にヨーロッパ人がどれほどひどいことをアジア、アフリカ、南米でやってきたか。そういう歴史をしっている以上、地球人側も神経過敏にならざるをえません。

 ただ、そうしたストーリーが続くのかと思いきや、ルイーズの夢や記憶がところどころに挿入され、解読のヒントになっていくことから事態は変わっていきます。前半から伏線がきれいにちりばめられているので、丹念におっていけば、終盤になればなるほど納得できることばかり。本当に、見事な脚色でした。

 宇宙人ものだからドンパチが発生するかと思えばほとんどありません。地道なコンタクト作業の繰り返しであり、エンターテイメントを期待すれば退屈するかもしれません。けれども、そのなかに終盤の重大なヒントがあるので、やめてしまうのはもったいない。

 そして、ラスト。観る人によって、とらえかたは違うでしょう。ルイーズの選択は当然なのか、それとも許されないものなのか。僕自身、見終わった後何が正しかったのか答えがでません。本当に奥が深い作品です。もっとも、飛行体の形が日本の煎餅、「ばかうけ」に似ていると話題になっているので、実際にみたら結構、笑ってしまいました。

 エイミー・アダムスはこういう知的な学者役もできるのには感心しました。一方で、ジェレミー・レナーが物理学者というのはちょっと苦しいかも。けれどもクライマックスの二人の行動も含めて良いコンビになっており、終わってみれば他の役者がルイーズやイワンの役をすることが想像できませんでした。
posted by 映画好きパパ at 07:10 | Comment(2) | TrackBack(16) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いまだに、この作品のインパクトが残っています。

このため、最近作ったこのランキングでも高い位置に!

https://blog.goo.ne.jp/onscreen/e/97d7db1627bef48bb234e9e93db265ed
Posted by onscreen at 2018年05月07日 23:47
コメントありがとうございます。
落ち着いたけど、SFぽいどきどきもあって、名作でした。
同じ意見の人がいてうれしいです。
ブレードランナーは寝落ちしたのでもう一度見直したいなあ
Posted by 映画好きパパ at 2018年05月08日 07:29
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