2017年06月11日

 ヨーロッパで評価の高い河瀬直美監督の新作。最近の河瀬作品らしく、わかりやすさはあるけれど、フランス映画ぽいトーンは、眠気を誘います。水崎綾女はこれをきっかけにブレイクするといいなあ。

 作品情報 2017年日本映画 監督:河瀬直美 出演:永瀬正敏、水崎綾女、藤竜也 上映時間:102分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:Tジョイプリンス品川 2017年劇場鑑賞95本目 



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 【ストーリー】
 視覚障害者のための映画の音声ガイドを始めた美佐子(水崎綾女)。新作映画の音声ガイド作成のために、地元の視覚障害者たちに協力を求める。その中で中森(永瀬正敏)という男性は、非常に厳しく美佐子の作った音声ガイドにだめだしをして、美佐子はショックを受ける。

 映画会社の智子(神野三鈴)から、中森がかつては有名なカメラマンだったが、視力を徐々に失い、今ではほとんど見えなくなるということを聞いた美佐子は、中森の写真集をみて、風景写真の美しさに心をうたれる。やがて、中森とやりとりするうちに、美佐子の心も変わっていく。

 【感想】
 非常に厳しいことで有名な河瀬監督だけに、永瀬は半月前から中森のアパートに住み込み、視覚を遮断するゴーグルをつけて暮らしていたそう。また、部屋に飾ってある写真も永瀬自身が撮影したもの。こうした演技指導がみのって、弱視に苦しむカメラマン・中森が確かに存在したことが感じられます。

 光を失い、自分にとって一番大切な写真と離れなければならないあせりの反動なのか、中森がどんどん不機嫌で意地悪になっていく様子は何ともいたたまれません。名優・永瀬の見せ場でもありました。

 一方、美佐子も自分の単調な人生をあきらめとともに暮らしているうえ、中森から頭ごなしにいわれて、涙ぐむ今ふうの若い女性です。けれども、中森や、映画監督の北林(藤竜也)といった人生の先輩と出会い、ふれあううちに、次第に内面が変化していく様子がよくわかります。中森と美佐子の距離が縮まるシーンは、美しい奈良の山の風景もあいまり、非常に印象的でした。

 音声ガイドの仕事もまったくしらなかったので、興味深かった。ただ、樹木希林がでてきたのは、実際そういうものかもしれませんが、ちょっと意外な気もしました。また、北林のつくる劇中劇も含め、いかにもフランス映画っぽい雰囲気も好みがわかれるかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 06:46 | Comment(0) | TrackBack(4) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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