作品情報 2016年アメリカ映画 監督:スティーヴン・ギャガン 出演:マシュー・マコノヒー、エドガー・ラミレス、ブライス・ダラス・ハワード 上映時間:121分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2017年劇場鑑賞97本目
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【ストーリー】
アメリカの地方都市の鉱山会社ワショーは業績が低迷し倒産寸前。社長のケニー・ウェルス(マシュー・マコノヒー)は一か八かの賭で、インドネシア在住で、新理論を唱える地質学者マイケル・アコスタ(エドガー・ラミレス)に協力を要請する。
2人はジャングルの奥に入り、なけなしの金を払って得た機械で掘削を始める。だが、金鉱はみつからず、ケニーはマラリアで生死の境をさまよう。だが、そんな二人の執念が実り、巨大な金鉱を見つけることに成功したのだったが…
【感想】
ゴールドも金(かね)も人を狂わすと、背筋が寒くなりました。父親が順調に経営していた鉱山会社を自分の代になって傾けたプレッシャーと、いかにもアメリカの田舎のおっちゃんらしいだらしない容貌(ハゲデブ)に、厚かましさと人の良さがうまい具合にミックスされていたケニー。恋人のケイ(ブライス・ダラス・ハワード)も、田舎の気のいい美人といった感じで、金がなくても幸せな人生を歩めたでしょう。
しかし、ゴールドに対する執念が、彼をかえます。ケイの金時計をだまって持ち出して旅費にして、自らもジャングルで泥水をすすりながら、採掘にあたり、死にかけてもひたすらゴールドのことが頭を離れない。まさにとりつかれたとしかいいようがありません。それだけに、金が発見されたときは見ているこちらもうれしくなりました。
ところが、成功して大金持ちになったことが、不幸の始まりというのはなんともいえない人生の皮肉です。ウォール街の大企業が、田舎の社長のケニーを言葉たくみにおだて上げます。さらに、国際ビジネスは海外の政治家も絡み、一筋縄ではいきません。単に鉱山をほっていれば幸せだったのに、ゴールドではなくて金にとりつかれてしまったのが、諸悪の根源でした。
典型的な成金になり、これまで支えてくれたケイや友人たちを遠ざけ、エリート女性をはべらすケニー。遠い日本の観客ですら滑稽さがわかるのに、ケニー自身はそれが幸せだと思っているから悲しい。いったい人間にとって何が本当に大切か、金さえあればよいのかと考えさせられます。
また、ケニーが現地のテントで寝込んだときは、感染の危機すらあったのに賢明に看病してくれたマイケル。その2人の友情も、ケニーがインドネシアの現地でなく、ニューヨークに居場所を替えたことで、変色していきます。生きることのむなしさが伝わるマコノヒーの演技も含めて、大人の作品だなと実感しました。
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