2017年06月16日

武曲 MUKOKU

 剣道に命がけの執念を燃やす男たちのストーリーで、熊切和嘉監督のスタイリッシュな映像は一見の価値があります。鎌倉はよく映画の舞台になるけど、日本の伝統を伝える場所として描かれるのはあまりなく、その点も見所でした。

 作品情報 2017年日本映画 監督:熊切和嘉 出演:綾野剛、村上虹郎、小林薫 上映時間:125分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2017年劇場鑑賞100本目



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 【ストーリー】
 天才的な剣士の父・将造(小林薫)に幼い頃からスパルタ教育で鍛えられてきた矢田部研吾(綾野剛)。だが、練習中に父を植物状態にしてしまい、それ以来、剣を捨て自暴自棄の生活を送っていた。

 北鎌倉学園の高校生、羽田融(村上虹郎)は、剣の才能を剣道部の指導者である雪峯和尚(柄本明)に認められ、剣道部にスカウトされる。研吾を立ち直らせたい雪峯は融を使って研吾を挑発。素人同然の融に面をとられた研吾は暴れながらも、剣の奥深さを思い出すのだった…

 【感想】
 剣道のトップクラスの練習が実際にはどうなのかわからないけれど、将造と研吾の愛憎絡む父と子関係と、母子家庭に育った融と雪峯の疑似父子関係が対比されています。子どものころからかなわないと思い、ひたすら打ちのめされ続けていた父を文字通り倒してしまった研吾。剣の道に戻るうちに、厳しさに隠された父の愛情を感じることになります。

 一方で、かつて溺れて死にかけたことのある融は、生死ぎりぎりの感覚を求めて剣の道に入ります。禅僧でもあり、剣の師匠である和尚は融を導きますが、説明過多にならず、まさに禅問答のように自分で気づかせていきます。和尚は研吾のことをも気にかけているのですが、こうした、日本的で理想的な父性像というのも今ではあまりみかけません。こういう古き日本の伝統というのを感じさせられました。

 ロケ地が鎌倉であるというのも大きい。谷戸を歩いて行ったり、大船駅の裏口でロケしたり、あまりみられない何気ない鎌倉の生活というのをうまく映し出しています。クライマックスの研吾と融の対決も、こういった背景が緊迫感をさらに高めているといえましょう。

 綾野は相変わらずうまい。すさんだ姿、剣の狂気にとりつかれる姿そして…とそれぞれ存在感を示しています。村上はもう少し剣の天才ぶりがでていれば良かった気もしますが、生と死の境目を求める狂おしさはよくでていました。でも、クレジットでは三番手でも出番が少なかった前田敦子が、パンツ丸出しでお尻を見せてくれたのが一番印象に残ったというのは内緒です。
posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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