作品情報 2017年日本映画 監督:入江悠 出演:藤原竜也、伊藤英明、仲村トオル 上映時間:117分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2017年劇場鑑賞101本目
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【ストーリー】
1995年、東京で5件連続の猟奇殺人が起きた。犯人は被害者の家族の前で縄で絞め殺すという残虐の手口を使い、警察の捜査をすり抜けた。そして、2010年、時効が成立した。
2017年、連続殺人犯と名乗る曽根崎(藤原竜也)が、告白本を出版。イケメンぶりもあり、たちまち世間で大評判になる。当時、犯人をあと一歩のところで取り逃した上、目の前で尊敬する先輩(平田満)を殺された刑事・牧村(伊藤英明)は時効のため、手が出せない。さらに曽根崎に挑発され殴ってしまい、騒動はヒートアップ。ほかの遺族も曽根崎の命を狙う中、事件を追ってきた人気キャスターの仙堂(仲村トオル)は、曽根崎を番組に生出演する。そこで…
【感想】
韓国版をみていても楽しめました。韓国版では仙堂役は出てこないし、逆に日本版で刑事の母もでてきません。さらに、ラストもうまいぐあいに改変されています。リメイク映画の見本のような作品です。
それにしても1995年という阪神大震災をはじめ当時の雰囲気を漂わせ、伊藤も若いメークをして、まさにタイムスリップしたよう。そして、時効の撤廃直前に事件が起きたことにして、警察の捜査だけでなく法の網をかいくぐった狡猾な犯人の手口もよく再現しています。22年というのは刑事の15年でなく、民事の20年、さらに犯人が海外にいる期間も勘案してということなんですね。
現代社会もよく風刺されていて、たとえば曽根崎が犯罪者なのに人気になるというシーンは、SNSやマスメディアにまつりあげられたこともあり、大衆化社会の怖さを表しています。実際、古くはオウム事件、最近でも英国人女性殺害事件などでちょっとイケメンの容疑者がいるとマスコミの寵児になるというのはあるわけです。
一方で、遺族の悔しさというのもよく現れております。夏帆、岩松了、 岩城滉一と年代も違う芸達者なキャラクター配置で、それぞれが違った方法で復讐をしようというのも、エンタメとして目が離せません。韓国版の壮絶なカーチェースやボーガン娘も良かったけど、日本風にうまくマイルドにアレンジされていた本作のほうが好みかな。伏線もいたるところにはってあり、うならせられます。
演者でいえば、藤原、伊藤の二人の対決は見所で、特にあとになってみれば、彼の内心はああだったのかと振り返ると、まったく違うふうにみえるのはお見事。それぞれ、わりと決まったイメージのある俳優ですが、それに磨きをかけた感じの怪演でした。一方、若手の野村周平、石橋杏奈、早乙女太一らの演技も見応えがあり、脇役にいたるまで、見事なキャスティング。邦画でエンタメを楽しみたいのならば、間違いなくこの作品でしょう。
【2017年に観た映画の最新記事】
クマネズミも、おっしゃるように、「藤原、伊藤の二人の対決は見所で、特にあとになってみれば、彼の内心はああだったのかと振り返ると、まったく違うふうにみえるのはお見事」だと思いました。
ただ、つまらないことを申し上げて誠に恐縮ですが、ご教示いただければ幸いです。
「時効の撤廃直前に事件が起きたことにして」と述べておられますが、本作の「事件が起きた」のは、最後の牧村里香の件も含めて1995年であり、他方、日本で時効が撤廃されたのは2010年ではないかと思うのですが?
また、「22年というのは刑事の15年でなく、民事の20年、さらに犯人が海外にいる期間も勘案して」と述べておられますが、本作では、「刑事の15年」以外の点(民事とか在外期間)は描かれておらず、言及されてもいないように思うのですが?
映画では民事の期間は言及されていませんが、現在の日本の法律でも
民事の時効は20年なので、わざわざ言及しない自明の理だと思いました。
もし16年後に犯行を告白したら、民事裁判の対象になり、巨額の賠償を
払う羽目になりますから。
時効の撤廃直前というのは確かにわかりにくい表現で、時効の対象から外れる直前というのがただしい日本語でしょうか。