作品情報 2017年日本映画 監督:山田洋次 出演:橋爪功、吉行和子、小林稔侍 上映時間:113分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2017年劇場鑑賞102本目
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【ストーリー】
三世代同居の平田一家。周造(橋爪功)と富子(吉行和子)の離婚騒動も落ち着いた中、一家の悩みの種は、周造が運転をやめず、あちこちで物損事故を起こしていることだった。息子の幸之助(西村雅彦)と嫁の史枝(夏川結衣)、次男の庄太(妻夫木聡)や妻の憲子(蒼井優)がいっても、周造はがんとして運転をやめず、ついに幸之助は長女の成子(中嶋朋子)と夫の泰蔵(林家正蔵)、庄太夫婦を呼んで週末に家族会議を開くことにする。だが、富子は我関せずと、オーロラをみに友人たちと北欧旅行へ出発した。
いきつけの飲み屋の女将かよ(風吹ジュン)とドライブにでかけた周造は、偶然、道路の交通整理をしている高校の同級生丸田(小林稔侍)と再開する。悠々自適の自分とちがい、事業に失敗して家族にも逃げられた丸田を励ますため、周造はミニ同窓会をひらき、かよの店で痛飲。泥酔状態で丸田を家に泊める。ところが…
【感想】
平田家のどこにでもありそうな日常のドタバタに、中高年の多い客席は大受けでした。橋爪功が「うんこ」といいながらトイレにこもるだけで、観客席が笑うのですから、昭和喜劇の再現といったところでしょうか。それでいて、高齢ドライバーの問題や下流老人といった今風のテーマをうまくくるんでいます。
ただ、人の幸不幸というのは本人の感覚によって違うので、丸田も数十年ぶりに親友だった周造たちにあえたのは、普段が淋しい生活をしているだけに余計にうれしかったといえます。また、丸田が下流老人なのは社会が悪いと周造が簡単に社会のせいにするのも、周造自身は立派なマイホーム、家族をもったうえ、いきつけの女将にも気に入られているのをみると、その社会で得しているのはあなた、といいたくなります。
しかし、そうはいっても薄れゆく家族や友人の絆というものを思い出させてくれますし、若い世代代表の妻夫木、蒼井がうまく話を現代的に引き戻してくれます。また、死に関する不謹慎とも思える言動も、ぼくらよりも遥かに年上で、死がより身近であろう山田監督だからこそ、こうやって笑えて昇華できるのかというきもしました。
脇役にいたるまで芸達者をそろえていますが、山田監督の方針か、中高年の観客に配慮したのか、言葉をはっきり、おおげさに演じてわかりやすい演技は親切だけど、やはり昭和喜劇といえるでしょう。風吹ジュンの女将は「武曲」でも見たばかりだし、中嶋朋子のオロオロした母親役も「美しい星」でみたばかりだから、定番という感じ。また、小林稔侍は前作と全然別人の役ででていますが、メイクとか違ってるから許容範囲かな。最初は、前作の探偵さんかとおもいましたけど、そこらへんも昭和喜劇を感じました。
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