2017年07月11日

海辺のリア

 名優・仲代達矢の人生に照らし合わせるような老いたスターの黄昏を、「リア王」をバックにして作りました。演劇調の言い回しに、小林監督独特の演出で非常にユニークな作品になったけれど、ちょっと眠くなったかも。

 作品情報 2016年日本映画 監督:小林政広 出演:仲代達矢、黒木華、阿部寛 上映時間:105分 評価★★★(五段階) 観賞場所:テアトル新宿 2017年劇場鑑賞115本目



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 【ストーリー】
 往年の名優の桑畑兆吉(仲代達矢)は認知症のため入れられていた施設を抜け出し、海辺をさまよっていた。連絡を受けた長女の由紀子(原田美枝子)は、父への愛情も冷え切っており放置すればいいというが、由紀子の夫で兆吉の弟子でもあった行男(阿部寛)は、血眼になって探し始める。

 一方、海辺で兆吉は若い女性伸子(黒木華)につきまとわれていた。実は伸子は兆吉が愛人に産ませた子どもだったが、由紀子に讒言された兆吉は伸子を家から追い出した過去があった。しかし、今や兆吉は自分の娘すらわからなくなっていた。

 【感想】
 リア王をきちんと読んでいないとわかりにくいところもありますが、まるで、リア王の舞台が現代の日本にうつったようです。仲代ら主要登場人物は舞台のように大声ではっきりと台詞を叫びます。仲代や阿部はわかるけれど、黒木もこういうふうな演技にはまるのは「幕が上がる」以上に驚きました。

 桑畑兆吉は演劇、映画、テレビと歩んできた仲代の半生と思いも込められているようです。「桑畑」という名前は劇中で言及されたように、仲代の名前をたからしめた黒澤映画の「用心棒」からきていますし、テレビやCM出演に対する複雑な思いや事務所の事業失敗(仲代の事務所というよりも、三船敏郎、勝新太郎ら同世代のスターの事務所が失敗している)といったあたりも、老優の無残さも象徴しています。

 また、その事務所を失敗させてしまった行男は、義父にも妻にも頭が上がらず、妻の愛人(小林薫)が堂々と家に来ても、みて見ぬふりをしています。そして、伸子は自分が愛人の娘ながら、同じく私生児を出産してしまうことで、兆吉から罵倒されます。一方、由紀子は親の財産目当てなドライな女。パターンが全く違う3人の子どもと親の関係は、それぞれ過去にどんなことがあったのか、見ているこちらに考えさせられます。

 エキストラが出なくて、主役級の俳優5人だけの演技合戦。特に仲代の演技をスクリーンに焼き付けたかったのか、固定カメラでのロングショットの長回しがやたらと多い。ぼさぼさの髪の毛によれよれのパジャマをきて、キャスター付きのスーツケースを引っ張ってホームレスのようにみえる仲代のエネルギーにはとにかく感嘆するしかありません。また、たった一言しか台詞がないけれど、たっているだけで存在感をみせる小林もあっぱれでした。

 けれども、ストーリー事態は起伏にとんだものではなく、リア王など予備知識がないとかなり不親切。なんともいえない味あいの作品でした。
posted by 映画好きパパ at 06:49 | Comment(0) | TrackBack(1) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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