作品情報 2016年オーストラリア、アメリカ映画 監督:メル・ギブソン 出演:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、テリーサ・パーマー 上映時間:139分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズスカラ座 2017年劇場鑑賞117本目
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【ストーリー】
アメリカの田舎町で育ったデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は第二次大戦の戦局が激しくなり、ドロシー(テリーサ・パーマー)と 恋仲になったばかりだが、軍隊に志願する。だが、宗教上の理由や第一次大戦の激戦の生き残りで、PTSDからアルコール中毒になった父トム(ヒューゴ・ウィーヴィング)のこともあり、決して武器をとらないことを決意する。
訓練ですら銃をとたないデズモンドに上官や同僚は困惑し、ついには軍法会議にかけられる。しかし、衛生兵として戦場に赴くことが認められ、沖縄に赴く。ハクソーリッジと呼ばれる高地での戦いは日米が血みどろになって戦う戦場だった。
【感想】
序盤、デズモンドの生い立ちが丁寧に描かれます。トムが戦場で何人もの親友を失い、戦後は生きる屍になっており、アルコール中毒から家庭内暴力を起こすようになっていたこと。そして、デズモンドにとってその血 が自分に流れているというのは、いつか大切な人を傷つけてしまうという恐怖だったのでしょう。
ただ、デズモンドはいつも半笑いしており、発達障害のように見受けられるところもあります。ドロシーに対する熱愛も、イケメンでなければストーカーのようでは。また、軍隊でいじめにあったり、裁判になっても、信念を貫くためにはむしろ苦難を引き受けるほうがよいという、普通の人と違った心の持ち主に見られます。
けれども、自分の命を軽く見て、他人のために尽くそうという行為は戦場でも発揮されるのでした。日本軍の猛攻の中でただ一人敵地に残り、負傷した兵士を救出する作業をえんえんと続ける。しかも、武器は何一つ持たずにです。しかも、重傷を負った日本兵を手当すること もありました。まさに、彼こそが超人という意味でのヒーローでしょう。
もちろん、彼に救われてもけがが治れば戦場に復帰して相手を殺すのですから、人類愛というにはちがうのかもしれません。それでも、ひたすらけが人を助ける彼をみていると、なんだか不思議な気分になってきました。
戦場の場面は息つく間もなく、倒しても倒しても日本兵がわらわらと現れる様子は、当時のアメリカ兵の恐怖をみているこちらにも感じさせます。戦争のリアルさがつたわってくるよう。実際は住民も巻き込んだ悲惨な戦いで、浦添市のホームページにこの映画の公開にあわせて、当時の説明が載っているので参考になります。
アンドリュー・ガーフィールドは「沈黙」に続いて日本と宗教を描いた 作品に続けてでていますね。彼の壊れそうな素朴な容姿が、こういう作品にあっているのかもしれません。彼を支えたテリーサ・パーマーは美人でしっかりものというおいしい役所でした。
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