作品情報 2016年 アメリカ映画 監督:クレイ・トゥイール 上映時間:111分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2017年劇場鑑賞158本目
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【ストーリー、感想】
NFLニューオリンズ・セインツのスタープレーヤー、スティーブ・グリーソンは、ハリケーンで壊滅的被害を負ったニューオリンズを勇気づける伝説的なプレイヤーで、スタジアム前に銅像が飾ってあるほど。2008年に引退後、妻のミシェルと結婚しました。しかし、2011年に現在の医学では治療不可能のALSが発症。その直後、ミシェルの妊娠がわかります。
ALSの平均余命は2年〜5年程度。生まれてくる子どもと会話することもできないと思ったスティーブはビデオレターを毎日撮ることに決めます。父親として最良のプレゼントを贈りたいと考えたスティーブは、恋愛、友情、火のおこし方などさまざまなことについて語りました。
息子のリバースが無事生まれるが、スティーブは走ること、歩くこと、会話と徐々にできることが少なくなっていく。一方、不和だった父との和解、ALS患者のための活動(スティブ・グリーソン法という患者支援の法律ができるほど)、そして看病と育児に疲れたミシェルとの感情のぶつかりあい。作品中ではスティーブの短所やまずいところもきちんと撮っており、作品としての公平性を感じました。
それにしても、父の子どもに対する愛情のなんて深いこと。難病になり、残り時間がすくないがゆえに濃密な関係が結べるのかもしれません。初めて赤ちゃんのリバースが「daddy daddy」と呼びかけたときは、見ているこちらが涙がぼろぼろあふれてしまいました。さらに、自分が父親になるとともに病気になったことで初めて父親や妻に伝えた思い。家族の絆というのはなんてすばらしいものなのでしょうか。
同時に、アメリカの過酷な保険制度も浮き彫りになります。ALSの延命治療は高額なため95%の人ができないとか。スティーブは私財をなげうって財団をつくるとともに、自分が有名人であることを利用して、オバマ大統領やビル・ゲイツら著名人への協力も訴えていきます。しかし、それは家庭ですごせる時間を削ることでもありました。
このあたりのジレンマになると、見ているこちらがつらくなってしまいます。やはり人間として、ヒーローになれる素質をもったひとがいるのかなあ。でも、そんな彼でも死の恐怖におびえてぼろぼろ泣いたりするのをみると、やはり人間だと思えてしまいます。
ドキュメンタリーはあまり得意でないのですが、とにかく、大勢の人に見てもらいたい作品でした。
【2017年に観た映画の最新記事】
動けなくなっていく自分を見るのは、
通常の人よりかなり辛かったのではと思います。
家族との時間を大事に、
少しでも長く息子さんの成長を見られるといいですね。
病気が進行しているときに、スタジアムでの自分の銅像除幕式に
出て、そのときに病気のせいで大失敗をしてしまうシーンもあり
かつての栄光と現状を比べてどう思ったのか、つらかったのだろうと
思いました。
闘病生活は続いているそうですが、早く治療法がみつかるといいです。