2017年09月26日

ダンケルク

 第二次大戦初期、フランス北部のダンケルクに追い詰められた英仏両軍の脱出を描いたクリストファー・ノーラン監督の最新作。派手な描写はありませんが、ヒーローはだれもおらず、見ているこちらが戦場に放り出されたような体験ができました。

作品情報 2017年イギリス、アメリカ、フランス映画 監督:クリストファー・ノーラン 出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン 上映時間:106分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2017年劇場鑑賞166本目



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 【ストーリー】
 1940年、ドイツ軍の猛攻撃に英仏軍はフランス北部の港町ダンケルクに追い詰められる。40万人の兵士がイギリスへ撤退しようとしていたが、陸海空からドイツ軍に包囲されていた。英国軍の若い兵隊トミー(フィオン・ホワイトヘッド)は命からがら海岸にたどりつくが、味方が砂浜で次々とやられていく。

 英国空軍のファリアー(トム・ハーディ)らの編隊はダンケルクの救出作戦の援護にあたっていた。最新鋭の飛行機部隊だったが、1機また1機とやられていく。一方、海軍の船が次々とやられるなか、民間の漁船や遊覧船も救助に駆けつけていた。老船乗りのドーソン(マーク・ライランス)も、小型のクルーザーにのってダンケルクに駆けつけようとするのだが…

 【感想】
 ダンケルクの撤退劇を陸、海、空それぞれの視点から、さらに時間軸を1週間、1日、1時間と異ならせてラストで交差させるという凝ったつくりになっています。CGを排したこだわり、最低限の台詞しかなく、ドイツ軍の姿をほとんど見せないなど、これまでに類の見ない仕上がりになっています。

 トミーをはじめとする大部分の陸軍の兵隊からすれば、生きてかえれるかどうかは運次第。海峡の先にイギリスがみえるのに、絶望的な戦況が続きます。町では敵兵から銃撃され、浜辺で空襲を受け、軍艦で待避しようとするとUボートからの魚雷。死が当たりまえであり、感情も麻痺しているかのように、英雄もなにもありません。何十万人の一人でしかなく、他の戦争映画のようなヒーローはいないのです。

 むしろ、我先に助かろうとしたり、友軍なのにイギリス兵のほうがフランス兵より優先されるなど、死を目前にすると自分勝手になる様子が淡々と描写されています。戦争映画の主人公が、卑怯な手を使っても生き残ろうとするというのは、あまりないのでは。

 一方、空軍になると違ってきます。陸軍兵はフィオン・ホワイトヘッドをはじめ無名の若手でかためていますが、トム・ハーディというスターを起用。仲間がやられていくなか、不屈の闘志で敵を倒していきます。けれどもここでもヒーロー映画と違い、自分の攻撃も敵の攻撃もなかなか当たりません。それでいてほんの一瞬の油断が死につながるのです。戦闘機乗りのありふれた日常というべきでしょうか。

 また、海もそうです。ドーソンは一民間人に過ぎません。しかも数少ない会話のなかから、長男が戦死したことがわかります。それでも次男のピーター(トム・グリン=カーニー)とともに危険な戦地に、だれにも強制されたわけでなくて向かいます。途中、英国兵(キリアン・マーフィー)を救出することで、トラブルにもなりますが、毅然としてかつ大人の風格で対応します。こういう名もなき英雄が歴史の陰に隠れていたというのも事実でしょう。

 ダンケルクの歴史を簡単にでも知らないと、何が何だかわからないと思うので、公式ページの林先生の解説は先に見ておいたほうがよいでしょう。そのうえで、自分がもし戦地に派遣されたらどうなるのかということを実感してみるというのもいい機会なのでは。重低音の音楽も含めて、とにかく重たい作品であり、見終わったあとぐったりとしました。
posted by 映画好きパパ at 06:50 | Comment(0) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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