作品情報 2016年アメリカ映画 監督:ジョン・マッデン 出演:ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング、ジョン・リスゴー 上映時間:132分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2017年劇場鑑賞197本目
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【ストーリー】
敏腕ロビイスト、エリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)のもとに、銃規制法案をつぶすよう依頼がくる。しかし、彼女はそれを断ったため、大手ロビイスト企業での立場が危うくなる。銃規制法案成立のためのロビイング活動をしていた小さなロビイスト企業のロドルフォ(マーク・ストロング)に雇われた彼女は、部下を引き連れて移籍。あらゆる手段をつかって法案を成立させようとする。
巨額の資金と会員をもち、国会議員への影響も強い銃器団体。どうみても勝ち目のない戦いだったが、味方すら欺き、時には違法な手段までを使うスローンの豪腕で、事態は混沌としてくる。あせりをみせたスローンの元上司デュポン(サム・ウォーターストン)は、彼女を叩き潰そうと策を練る
【感想】
映画がどこまで現実を反映しているかわかりませんが、アメリカの政治というのものがいかにゆがめられているのかよくわかります。選挙で当選するには巨額の選挙資金が必要で、そのためには有力団体にはさからえない。その一方でマスコミへのイメージに右往左往する。そんな政治家たちを手玉にとるのがロビイストで、その暗躍ぶりがよくわかります。
興味深かったのはスローンの過去や家族とか一切でてこない。ただ、マシーンのように働き、眠らないように薬をのみ、性欲は男を買って処理する。さらに、周囲の人間は敵か利用できるかのどちらかだけ。そうでもしないとワシントンナンバー1のロビイストになれないのかもしれませんが、ワンダーウーマンなんかよりはるかに強い女性を表していました。
また、これだけ乱射事件が起きても銃規制ができないアメリカの現状もよく反映しています。ロビイストの暗躍や圧力団体に政治家はかなわない。それをどうやって崩していくのか。スローンとデュポンたちの戦いは、血こそ流れないものの容赦なく、残酷なもの。そして、勝者のみが富と権力を得られるというアメリカのむなしさも風刺しています。
ストーリーも手が込んでおり、特に終盤は二転三転する様子に、いったいどういう結末になるのか、最後までわかりませんでした。攻撃は最大の防御なり、やられる前にやれ、といった言葉が頭をよぎります。難しい用語が多いけど、テンポの良い演出で雰囲気で感じられるというのも良作の証拠です。
それにしても、ジェシカ・チャステインの演技はお見事の一言につきますね。ゴールデングローブ賞はノミネートされたけど、アカデミー賞にノミネートされなかったのは不思議な限り。普通だったら恋愛要素をいれて失速させるのでしょうけど、とにかくハードな戦いの連続で、久々に手に汗握るポリティカルサスペンスを見た感じです。
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