2017年11月07日

彼女がその名を知らない鳥たち

 イヤミスで知られる沼田まほかるの原作を、これまた「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」で人間の嫌な部分を見せつけた白石和彌監督が映画化。嫌な登場人物ばかりですが、純愛とみるかゆがんだ愛とみるかで、観客の生き方が試されているのかも。

  作品情報 2017年日本映画 監督:白石和彌 出演:蒼井優、阿部サダヲ、竹野内豊 上映時間:123分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2017年劇場鑑賞207本目



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 【ストーリー】
 大阪に住む十和子(蒼井優)は、一回り以上年上の汚い中年男・陣治(阿部サダヲ)と同棲しているが、8年前に別れたかつての恋人黒崎(竹野内豊)のことが忘れられない。陣治を奴隷のようにこきつかって、うさを晴らしていた。

 デパートにクレームを入れるのが日課だった十和子は、謝罪に来たデパートの主任水島(松坂桃李)がイケメンだったことから一目惚れ。妻子ある水島とずるずる深みにはまっていく。だが、陣治がストーカーのようにつきまとうのが薄気味悪い。そんな彼女のもとを突然、刑事(赤堀雅秋)が訪れた。黒崎が6年前から失踪しているというのだ。十和子は陣治の行動を疑うのだが…

【感想】
 蒼井優が根性のねじ曲がった嫌な女性で、美人なのにもったいないと最初は思わせますが、次第に、なんでこんなにクレーマーおばさんになったのかとうんざりさせてくれます。デパートとか外部へもクレームだらけですが、陣治への扱いもひどい。同棲しているのにマッサージ以外は体に触らせようとしないし、連日暴言だらけで、見ている方もうんざり。

 そんな十和子だから変な男が集まってくるのか、イケメンの中年紳士で金持ちの黒崎も一皮むけばDV男だし、これまたイケメンの水島も女を遊びの対象としかみていません。それだけに、どれほどなじられても十和子に尽くす陣治の純情さに同情しそうになりますが、彼もホームレスのような汚い格好で、十和子がうんざりするのもわかります。

 さらに、普段小心で、十和子の姉(村川絵梨)や、その子供たちにも下に見られるニタニタ顔をしているくせに、何かあったときの表情の豹変ぶりがすごい。もともとストーカー的気質があったのでしょうが、若い美人と同棲したことで所有欲も加わった。愛することをつきつめるとゆがんでしまうのではという恐ろしさを感じさせられました。

 そして、終盤、ゆがんだ愛の交錯で悲劇が次々と起きていきます。純愛というえば聞こえがいいけど、実は気持ち悪く呪縛になりかねないということと、愛されるからといって幸せになれないというのが何ともたまらない。ゆがみきっているがゆえにまっすぐにみえるというのが愛の複雑さをいうものを実感させます。ラストも本当に見る人によって判断が異なるのでしょうね。でも、一度も深い愛を知らない人生よりは、ゆがんだ愛におぼれてもいいのかもしれません。

 悪役も引き受けていた松坂と違い、蒼井、竹野内、阿部は、今までとかなり印象が違うが故に、それぞれのキャリアハイになるといってもいいような、ディープな演技の連続。蒼井と阿部の関西弁を聞くと、地域的にもなんか偏見をよびそう。また、出番は多くないですが、先頃亡くなった中嶋しゅうも独特の存在感を放っています。個人的には朝ドラヒロインだった村川がすっかり年をとっていたのがちょっと寂しかったかな。
posted by 映画好きパパ at 07:03 | Comment(0) | 2017年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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