作品情報 2016年フランス、セネガル、ベルギー、ドイツ、レバノン映画 監督:アラン・ゴミス 出演:ヴェロ・ツァンダ・ベヤ、ガエタン・クラウディア、パピ・ムパカ 上映時間:129分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2017年劇場鑑賞246本目
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【ストーリー】
コンゴ民主共和国の首都・キンシャサのシングルマザー、フェリシテ(ヴェロ・ツァンダ・ベヤ)は酒場の歌手をしながら、息子のサモ(ガエタン・クラウディア)を育てていた。慎ましい生活で冷蔵庫が壊れても、近所の修理工で酒場の常連タブ(パピ・ムパカ)を値切って修理させている。
ところが、サモが交通事故に遭った。命は無事だったが、病院で手術しないと歩けなくなる。ところが、フェリシテには手術費用が出せない。必死になってお金を集めようとする彼女だったが…
【感想】
とにかく生きる力というのがすごかった。喜怒哀楽と息子への過剰な愛情がはっきりしており、病院では看護師や医師相手に大騒ぎ。お金がないとわかると、借金のとりたてにまわり、相手から嫌われようが、なんとしても金を集め、それで足りないと、見ず知らずの金持ちに寄付を頼む。「自分は物乞いでない、歌手だ」なんていっているから、歌うのかと思ったら強引に頼み込む。
日本だったら警察を呼ばれて終わりでしょうが、良くも悪くも人間関係が濃厚なのでしょうか。一方で人命の軽さと、金がないことのみじめさというのは、日本では想像もつかないくらい、庶民には当たり前なのでしょう。
ただ、アラン・ゴミス監督はセネガル系フランス人ということもあり、いかにもフランス映画っぽい淡々と描写を積み重ねるところがちょっと苦手。ところどころに挟まれる音楽の意味というのも、考えるより感じろということなのかもしれませんが、後半になるとおなかいっぱいという気持ちがしました。
フェリシテとは幸運という意味で、彼女が幼い頃、死にかけたのが奇跡的に回復したことから名付けられた名前です。金がなくても、夫がいなくても、子供がいて、生きる意欲がしっかりしていれば、その人生は幸運なのだと見ていて思いました。また、映画初出演のヴェロ・ツァンダ・ベヤの迫力も、邦画やハリウッドなど先進国ではみられない特徴があります。今年見た最後の作品で、アフリカ映画を見るというのも貴重な体験でした。
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