作品情報 2016年チェコ、イギリス、アメリカ映画 監督:ニキ・カーロ 出演:ジェシカ・チャステイン、ヨハン・ヘルデンベルグ、ダニエル・ブリュール 上映時間:127分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズみゆき座 2018年劇場鑑賞8本目
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【ストーリー】
ワルシャワ市民の憩いの場として親しまれていた動物園の園長ヤン(ヨハン・ヘルデンベルグ)と夫人のアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)は、幼い息子リシャルド(ティモシー・ラドフォード)と一緒に園内に住み、昼も夜も動物の世話をしていた。
1939年、ドイツがポーランドに侵攻。ヒトラーの覚えめでたいナチスの動物学者ヘック(ダニエル・ブリュール)はワルシャワ動物園の貴重な動物をベルリンに持ち帰ると、大型動物はすべて処分してしまう。一方、ユダヤ人の友人に助けを求められたヤンは、ゲットーに閉じ込められたユダヤ人をこっそり脱出させ、安全な場所が見つかるまで動物園の地下に匿うことを思いつく。アントニーナもリシャルドも、危険を承知でユダヤ人を助けるのだが…
【感想】
実話ベースですが、ヘックがここまでワルシャワ動物園に固執したというのはフィクションみたい。まあ、基本的にきまじめに出来事を追っているので、少しは盛り上げたいという制作側の意向もあるのでしょう。その分、一家の行動がちょっと間抜けに見える部分もありましたが。ともあれ、自分たちの危険を顧みず、ドイツ軍の目と鼻の先(動物園内にはドイツ軍が駐留していた)でユダヤ人を隠し続けたことは、事実は小説より奇なりといったところでしょうか。
ゲットーでのユダヤ人の扱い、平然と動物たちを射殺していくドイツ軍など、悲惨な場面が次々と現れます。やはり、映像の力というのはすごいですね。そして、ドイツ軍に見つかりそうなたびに観ているこちらもどきどきします。そのうえ、空襲やワルシャワ蜂起という地上戦にも巻き込まれるのですから。
そのなかで、そこまでしてユダヤ人を助けた一家はすごいとしかいいようがありません。趣味のピアノを聞かせて落ち着かせる一方、ドイツ軍が近づいた合図にしたり、孤児に子ウサギを与えて心の傷をいやしたり、リシャルドも孤児たちと交流したり。一家そろってたくさんのユダヤ人を助けたという例はほかにしりませんが、こういう究極の危険のときこそ、その人の強さ、善良さというのがあらわれるわけで、僕にはとてもできないと感心しきりです。
ただ、悲しい現実として、戦後、ポーランドは共産圏になったため、命がけでユダヤ人を助けた一家のことが歴史の陰に埋もれてしまったことです。でも、名誉や報奨を求めて行ったわけではないから、戦後70年以上たって、遠い極東でもこうした事実をしられるだけでもよいのかもしれません。ところで、ヤンとアントニーナのベッドシーンもあり、小学生の娘を連れて行こうかと思っていたのに、ちょっと残念でした。
なお、エンドロールで動物は傷ついていないとのクレジットがありました。CGが動物の演技かわかりませんが、今の技術はすごいなあ。
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