作品情報 2016年オランダ/フランス/ドイツ/ベルギー/スウェーデン/イギリス/アメリカ映画 監督:マルティン・コールホーヴェン 出演:ダコタ・ファニング、ガイ・ピアース、エミリア・ジョーンズ 上映時間:148分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2018年劇場鑑賞18本目
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【ストーリー】
開拓時代、田舎の村で助産師をするリズ(ダコタ・ファニング)は、口が聞けないものの、年が離れた夫のエル(ウィリアム・ヒューストン)と夫の連れ子の少年マシュー(ジャック・ホリントン)、幼い娘のサム(アイビー・ジョージ)と平穏に暮らしていた。だが、新しく村にやってきた牧師(ガイ・ピアース)をみてリズは激しく怯える。
リズが出産に立ち会った子供が難産で、母体を助けるために嬰児を殺さざるを得なかった。そのことから、リズは村で嫌がらせを受けるようになる。やがて恐るべき悲劇が一家を襲ったが、それはリズの過去、現在、未来にわたる過酷な運命の一つに過ぎなかった。
【感想】
全編を貫くバイオレンス。アメリカでは女性蔑視ではという意見もあったそうですが、むしろ女性を男性の道具としか見ない風潮が蔓延するなか、生きるために戦った女性の強さと美しさを強烈に感じました。そして、人の命を塵やあくたとしかみない時代に生きる厳しさも、他の西部劇がお話しかみえない僕にも、ストレートに伝わってきました。
映画は現在、過去、そしてまた現代と戻ります。過去に牧師とリズの間にどんな因縁があったか明らかになりますが、そのターミネーター的にストーキングする牧師の執念も、言葉は悪いですが、この時代の男なんでしょう。でお、妙にプライドが高くて、神の教えの正しさが分かるのは自分だけという偏狭な発想は今でも持っている人はいそうです。
そして、力がないものは正義があってもあっさり殺される時代の悲惨さ。勝てないとわかっていても、立ち向かうという人間の意地というのは、端から見れば立派だけど、それで殺されちゃうとかんがえると、どうなんでしょうか。手に汗握るクライマックス。冒頭のシーンの意味がラストになってようやく分かるという作りは、同趣向の作品は多いけれど、結構、びっくりしました。
ダコタ・ファニングはすっかり大人の女性になっていてびっくり。彼女が悲惨な目にあい、それにもきっとしたまなざしで立ち向かう様子は、子役時代の可憐な面影はまるでありません。一方、ガイ・ピアースの存在するだけで暴力性を感じるオーラというのも本作にぴったり。こういう西部劇を見たかった気がします。
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