2018年02月12日

RAW〜少女の目覚め

 フランスの女性監督ジュリア・デュクルノーによる耽美的とも抑圧された青春のメタファーとも思える不思議なホラー。これが長編デビュー作というのですからびっくりです。

 作品情報 2016年フランス、ベルギー映画 監督:ジュリア・デュクルノー 出演:ギャランス・マリリエ、エラ・ルンプフ、ラバ・ナイト・ウーフェラ 上映時間:98分 評価★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2018年劇場鑑賞33本目



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 【ストーリー】
 ベジタリアンとして育てられた少女ジュスティーヌ(ギャランス・マリリエ)は姉のアレックス(エラ・ルンプフ)も通う名門獣医大学に進学する。入学早々、新入生歓迎の儀式が行われたが、それはしごきともいえるものだった。

 儀式の一環で生のうさぎの腎臓を食べさせられた彼女は、自分の体の異変に気づく。それは人肉を食べたくなるという衝動だった。なんとか理性で抑えていた彼女だったが…

 【感想】
 インド映画の「きっと、うまくいく」でもありましたが、新入生へのしごきの儀式というのは、洋の東西を問わずいまでもあるのですかね。自由の国の印象が強いフランスでこんな儀式が行われているのは不思議でしたが、かなりエロティックなイメージがあったのはいかにもフランスらしいといえるかな。日本でこんな大学があったら、たちまち人権侵害とたたかれちゃいそうですが。

 それはさておき、人肉、それも愛してる人を食べたくなるというのは、一種の倒錯的な性欲ともいえそうで、ルームメイトでバイセクシャルのアドリアン(ラバ・ナイト・ウーフェラ)をめぐって愛と食欲の葛藤がおきるのは、なんともなまめかしい。いかにもおとなしい女性っぽいジュスティーヌと、筋骨隆々たるアドリアンが捕食関係ではひっくり返るというのはなんともまた倒錯的です。

 さらに、姉や両親(ローラン・リュカ、ジョアンナ・プレス)との複雑な葛藤も、青春期ならではの憂鬱もはいり、複雑な様相を呈します。ベジタリアンとして厳しくしつける母、学業面では妹より劣るのがコンプレックスになるのか、妹の野暮ったさをからかうパンクな姉。恋人と家族というレイヤーは違っても愛すべき対象を単純に愛せない、素朴なジュスティーヌの悲劇が見ているこちらにも伝わってきます。

 映画全体を流れる空気は静謐なのに、時折、騒々しい音楽シーンや、トランス状態に入りそうなパーティーを流すという緩急のつけかた。田舎の素朴な並木道と、スポットライトにあふれるクラブのシーンなど照明や撮影も工夫をこらしており、新人監督らしい初々しい気合というのも伝わってきました。テーマがテーマだけに、目をそむけたくなるシーンもありましたが、怖さよりも運命の哀れさを痛切に感じました。ラストはちょっと狙い過ぎな気がしましたが、今後が楽しみな監督です。
posted by 映画好きパパ at 06:55 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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