2018年03月08日

サニー/32

 「凶悪」の白石和彌監督、高橋泉脚本コンビがNGT48の北原里英主演を条件に、自由に撮ったそうで、突っ込みどころは多いものの、熱量は感じられます。ただ、実際の事件があきらかに元になっているので良識派は眉をひそめるかも。

 作品情報 2017年日本映画 監督:白石和彌 出演:北原里英、ピエール瀧、門脇麦 上映時間:110分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2018年劇場鑑賞55本目



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 【ストーリー】
 14年前、北海道で小学生女児が同級生をカッターで殺害するという事件があり、犯人の女児の写真はネットに流出。その可愛らしいポーズから「サニー」というあだなができ、史上もっとも可愛い殺人犯として、カルト的な人気を誇った。

 現在、新潟の中学教師、藤井赤理(北原里英)は誕生日の夜、2人組の不気味な男、柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)に誘拐される。2人は熱狂的なサニーマニアで、赤理こそが成長したサニーであるというのだ。赤理は山小屋に監禁され、何者かがその様子をネットで中継する。すると、ネットに自分こそが本物のサニーと名乗る女(門脇麦)が現れた。果たして柏原たちの目的は。そして、本物のサニーは…

 【感想】
 予告の後半で若干ネタバレはしていますが、その後も物語は二転三転していき、最後までどうなるのか盛り上げていきました。赤理は親ともうまくいかず、恋人もなく、生徒たちには軽く見られ、孤独な人生を歩んでいます。一方、柏原たち犯行グループもそれぞれ、サニーというネット上で神格化されたアイドル的存在に頼らざるをえない惨めな過去が明らかになっていきます。

 警察が無能すぎるとか、少年ハッカー(加部亜門)が有能すぎるとかの突っ込みどころはあるとはいえ、アイドルの北原を厳寒の川に突き落としたり、吹雪のなか裸足で走らせたり、過酷な状態を次々に起こしているのはアイドル映画としてはグッド。そして、きちんとしたカタルシスもでますし、人を殺すという罪とは、法的な裁きをうけたとはいえ、一生、ひきずらなければならないという重みも感じさせます。

 キャスティングもよく考えられ、アイドル出身で正直、演技が発展途上の北原と、不気味で何を考えているかわからない若手実力派・門脇の対比はうまかった。また、「凶悪」の犯人コンビ、ピエールとリリーも、「凶悪」よりさらにぶっとんだ役を演じており、こんななか、北原のういういしい演技が清涼剤となりました。仁義なき戦いのパロディー風のところや、ニコニコ動画というか、アバターを使ったネット中継など、ちょっと狙いすぎて外したかなと思わせられます。これも、北原の演技をみていると、小さくまとまるのでなく、八方破れ的なものを作りたかったと思うと、許容範囲でしょうか。

 ただ、やはり実際に起きたNEVDA事件を想起してしまうわけで、もし、遺族や友人など関係者が本作をみたらどう思うのかという気もします。僕自身はこの映画を楽しんだわけですが、他人だから楽しめたわけでしょうし、そういうことを楽しむことはありかなしか、そういったところまで頭をよぎりました。
posted by 映画好きパパ at 07:59 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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