2018年04月10日

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

 トランプ政権に抗議するリベラル派が、栄光の時よもう一度と作った感じがありありとしますが、本当は権力とメディアはこうした健全な監視体制にあるべきなんですよね。

  作品情報 2017年アメリカ映画 監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:メリル・ストリープ、トム・ハンクス、マシュー・リス 上映時間:116分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2018年劇場鑑賞85本目



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 【ストーリー】
 アメリカが配色濃くなったベトナム戦争末期、国防省の命令でベトナム戦争の開戦から現在までの極秘情報をまとめたペンタゴン・ペーパーズ。執筆者の一人ダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)は報告書が闇に葬られるのを恐れ、一部をニューヨーク・タイムズにリークする。

 ライバル紙のワシントン・ポストは文書を入手できないか、編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は部下に檄を飛ばす。そのころ、ワシントン・ポストは上場の準備をしていた。社主のキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は夫の急死で新聞社主になったものの、女性だと軽んじられていた。ようやく文書のコピーを手に入れたポスト紙だが、公表することはニクソン政権との全面衝突となり、経営危機になりかねない状況だった。掲載の可否を決断しなければならないキャサリンは…

 【感想】
 ベトナム戦争が終わった理由の一つとして、ペンタゴン・ペーパーズをはじめとして、大手メディアの報道で反戦世論が盛り上がったことがあげられます。国民には不利な戦況を隠し、国際法違反の攻撃をしていた政府が隠していたことを報道は次々にスクープしていきました。ニクソン政権からすれば許せないことでしょうが、40年以上たったいま、ベトナム戦争がこれ以上ずるずる進まなかったことは、アメリカの国益になったのは明らかです。時の政権とメディアとどちらが国益を考えているのかというのは難しい問題です。

 ベトナム戦争の教訓をうけて、アメリカはイラク戦争以降は報道統制を完璧にして、反戦世論が盛り上がらないようにしました。しかし、その結果、フセイン崩壊後のイラクはISの勢力が伸張し、シリア内戦をはじめ中東は混乱に陥り、アメリカ軍にも多くの死者がでています。果たして、これがアメリカの国益だったのかは、後世の歴史家が判断するでしょう。

 ペンタゴン・ペーパーズの公表は、裁判で有罪となる可能性が高く、ブラッドリーもグラハムも投獄を覚悟していました。それでも真実を伝えたい、新聞が民衆の側にたち、権力の欺瞞を暴く手段だったというのは、新聞社にとってはよき時代だったと言えましょう。翻って現在は、アメリカも、あるいは日本も、新聞社やテレビ局は民衆の側にたっているのか、トランプ現象をみると、民衆がメディアのほうこそ欺瞞があるのではとみているようです。

 興味深かったのが、ブラッドリーもグラハムもケネディ、ジョンソンの民主党大統領や、長年国防長官をつとめたマクマナラ(ブルース・グリーンウッド)のようなエリート政治家とは公私ともに親しかったこと。ニクソンはこうした交流がなかったのでしょうけど、今の日本でも政治家とマスコミトップの私的交流が話題になっていますが、ブラッドリーがいったように、記者と友人は両立できないはず。それをどれだけのメディアが理解しているかは微妙なところです。

 また、女性だから軽んじられる時代のなかで、キャサリンが決断するというシチュエーションも実話ですけれど、隔世の感がありました。ホームパーティーで仲良く食事をしていた男女が、食後、男だけ集まって政治の話をして、女性は別室で社交の話をする、新聞社主のキャサリンすら政治の話の仲間入りできないというのはまさに時代であり、それでも弱腰になる大多数の男性を尻目に、女性のキャサリンが決断を下さないとならないというのは、小気味が良かったです。

 物語はスピルバーグだけあって、結果をしっていても最後までハラハラどきどきさせられます。ストリープ、ハンクスという大物の取り合わせもあり、安心して楽しめます。「シークレットマン」「大統領の陰謀」につながる時代であり、メディアとしても幸福な時代だったといえましょう。今の日本やアメリカと当時の何が違うのか、考えさせられる作品でもありました。
posted by 映画好きパパ at 07:23 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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