2018年04月14日

ラッキー

 昨年91歳で亡くなった名脇役ハリー・ディーン・スタントンをあてがき。老いることと生きることという重たいテーマを乾いたタッチとユーモアでくるんでいます。大きな事件が起きるわけでないですが、心がほっこりしました。

 作品情報 2017年アメリカ映画 監督:ジョン・キャロル・リンチ 出演:ハリー・ディーン・スタントン、デヴィッド・リンチ、バリー・シャバカ・ヘンリー 上映時間:88分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2018年劇場鑑賞88本目



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 【ストーリー】
 アメリカ南部の田舎町に独り暮らしをする90歳のラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)。朝起きたらきちんと髪を整え、日課の体操をして、朝食は近所のダイナーで店主のジョー(バリー・シャバカ・ヘンリー)と軽口をたたきながら取る。散歩をしたあと家に戻り、テレビをしながらクロスワードをする。夜になったらなじみの酒場に行き、常連仲間のハワード(デヴィッド・リンチ)とたわいのない会話を楽しむ。

 頑固だが一本気なラッキーは町のだれからも愛され、このままずっとこの生活が続くかと思われていた。だが、ある日突然、ラッキーは倒れてしまう。病院でどこも悪いところはないが、加齢による衰えが出てきたと診断されたラッキーは…

 【感想】
 南部の田舎町でひっそり暮らし、口数は少ないながらも、しっかりとした知性と哲学を持ったラッキー。下着になって腕たて伏せ(本人曰くヨガ)と散歩をすることで健康を保ち、クロスワードでぼけの防止になっているのでしょう。彼の口から出てくる言葉は、充実して長い人生を送ったからこそ言える金言ばかり。「一人と孤独は違う」なんて、思わずしびれてしまいます。また、お前も自分も死んだら無になる。その現実を前にどうすればよいのか、なんて、生半可な知識人にはいえない台詞。

 基本的には大きな事件は起きません。せいぜいラッキーがめまいでたおれたり、いきつけの商店の女性店主から幼い子供の誕生パーティーに招かれたり、ハワードが飼っている100年もの長寿のリクガメ「ルーズベルト」が逃げ出したり。でも、何気ない日常にこそ、奥の深い人生の真実があるのかも。

 また、ラッキーのまっすぐでやんちゃなところがたまらない。ハワードの弁護士ボビー(ロン・リヴィングストン)がハワードを騙そうと思い込み、年齢差が50歳もあるのに、「表に出ろ」と血気盛んにいう。その後、ボビーと和解するシーンは、ボビーの何気ないエピソードも含めて、やはり深いと思わされてしまいます。

 終盤、ダイナーで同年配の男性と会ったラッキーは、そこで太平洋戦争に従軍したときの思い出を語り合います。死が当たり前だった戦場で、死ぬというのはどういう意味だったのか。そして、平和の世の中を何十年もたった今、死ぬことの意味とは。あまり深刻にならずに、でも深いテーマをさらりと描ける映画はそうありません。監督のジョン・キャロル・リンチのハリーへの深い愛情と91歳の老優だから演じられる奥の深さにノックアウトされそうでした。
posted by 映画好きパパ at 06:35 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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