2018年04月30日

レッド・スパロー

 ル・カレなどを彷彿とさせる本格的なエスピオナージ映画。単純なアメリカバンザイではなく、最後までどうころぶか分からない、緊張感漂う秀作でした。

 作品情報 2018年アメリカ映画 監督:フランシス・ローレンス 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョエル・エドガートン、マティアス・スーナールツ 上映時間:140分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2018年劇場鑑賞97本目




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 【ストーリー】
 ボリショイバレエ団のバレリーナ、ドミニカ(ジェニファー・ローレンス)は事故でダンサーとしての将来をたたれてしまう。病気の母(ジョエリー・リチャードソン)を抱えて、生活費にも困ったドミニカに、叔父でロシア情報庁副長官のワーニャ(マティアス・スーナールツ)が助け船をだす。

 ドミニカのファンで、情報庁が追っている男を誘惑して情報を入手すれば、仕事の世話をするというのだ。やむなく男とホテルに入ったドミニカの目の前で、情報庁は男を殺害。彼女も目撃者として捕まる。そして、生き残る条件としてハニートラップも行うスパイ養成学校に入れさせられる。そこで生来の才能を発揮したドミニカは、ロシア情報庁幹部でアメリカに情報を流す裏切り者「モグラ」の正体を暴くため、ブダペストにいるCIA工作員のネイト(ジョエル・エドガートン)から、色仕掛けで情報を聞き出すことを命じられた。さっそくブダペストに飛んだドミニカだが…。

 【感想】
 ロシアの重苦しい冬の雰囲気をそのまま映し出したような沈鬱な描写が続き、大ヒット映画ハンガーゲームの主演・監督コンビが手がけたとは思えない重厚ぶり。貧富の差が激しいロシアで、一番大切なものを守るために、他のあらゆるものを犠牲にしなければならなかったドミニカの凄惨な青春に、何とも言葉が出ません。

 この映画ではCIAが結構、間抜けに書かれており、原作者がCIA出身で、脚本もCIAにみせたのにいいのかと思えるほど。それだけに、真実の愛に気づいたヒロインが祖国を裏切り、男とともにアメリカに、なんて陳腐にならず、両方を天秤にかけ、どちらにつくのか最後まで分からないはらはらぶりがたまりません。

 一方、ロシア側もどれだけ階級が高くても、しょせん腐った国家体制を支える歯車の一つでしかないということは当人たちもわかっているわけで、愛国心とは何かという気もします。特にスパイ養成学校の鬼教官役のシャーロット・ランプリングの迫真の演技もあり、本来楽しみのための男女の仲を利用するため、スパイ組織がどんな訓練をするのかというのは非常に興味をもてました。また、クライマックスでモグラの正体が分かってからのシークエンスもうまいとうなるしかありません。

 BGMもチャイコフスキーをはじめとするクラシックを多用し、ファッションやロシア、ブダペストの重苦しい町並みと、西側から見ればちょっとクラシックなロシアの衣装などなど、重厚さがたまりません。最初は冷戦時代を舞台にした作品かと思えたほどです。

 ジェニファー・ローレンスはアメリカのトップ女優になったのに、こういうシーンで平然と脱ぐというのはさすが。また、プーチンに似ているといわれるマティアス・スーナールツがいい味をだしています。さらに、ランプリングやジェレミー・アイアンズといった渋い俳優がそろっており、レディアクションを期待すると肩すかしをくいますが、リアルなスパイ映画としては一級品といえましょう。
posted by 映画好きパパ at 07:47 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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