2018年05月19日

孤狼の血

平成ヤクザ映画の傑作。これだけの豪華キャストで、拷問など結構えぐいシーンまできちんと撮っているのはさすがは白石和彌監督です。

  作品情報 2017年日本映画 監督:白石和彌 出演:役所広司、松坂桃李、江口洋介 上映時間:126分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ港北 2018年劇場鑑賞114本目






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 【ストーリー】
 昭和63年、広島県呉原市は地元の老舗暴力団・尾谷組と広島の有力組織の手先である加古村組の間で一種即発の状況にあった。地元署に配属された若手刑事の日岡(松坂桃李)はベテラン刑事の大上(役所広司)と組むことになる。

 大上はヤクザから賄賂をもらうは、捕まえたヤクザを拷問まがいの方法で取り調べるなど非常にダーティーな男。日岡は大上の捜査にあ然とする。折から、加古村組のフロント企業の経理が失踪する事件が起きた。大上は日岡を引き連れ、2つの暴力団から情報をとろうと型破りの捜査を始める。

 【感想】
 ヤクザ映画といえばやはり広島が舞台になるわけでしょうか、全編を飛び交う広島弁を聞いていると、往年の「仁義なき戦い」「県警対組織暴力」といった作品を思い出します。さらに時代が昭和なので抗争も派手で残酷。「アウトレイジ」がむしろ様式美に見えちゃうほどです。残酷な場面もかなりえぐいところが何カ所かあり、やりすぎが一周して笑いたくなっちゃいましたが、途中で退場する客もいました。

 ヤクザと癒着しながら、ヤクザを利用して抗争をいきすぎないようにする。今の時代だったら完全にアウトなわけですけど、当時はそれが暴力団捜査の常道といえ、それだけに大上が、ヤクザを生かさず殺さずだからいいのであり、完全に締め付けたら地下に潜って分からなくなるという言葉は、なるほどなあと思わせます。

 男の友情ものとしても見事で、怪我もさせられ最初は大上に嫌悪しかなかった日岡が、次第に彼の心情に触れていくうちに、彼の綱渡りのような捜査を本気で心配していく姿、そして、クライマックスの立ち回りは、見ているこちらの心が熱くなります。役所の存在感はさすがですが、見るたびに演技が違う松坂も、前半のおとなしくてうろうろする新人刑事が、どんどん暴力団捜査の現場にはまっていく成長物語としてもいい。そして、ひねったプロットが含まれており、ちゃんと伏線を回収する脚本は気持ちがいい。

 ヤクザ役はこれまでなかった江口洋介、竹野内豊といったトレンディ世代のイケメンが、広島のちょっと野暮ったいけど、凶悪な田舎ヤクザにぴったりとはまっているし、大御所役に石橋蓮司、伊吹吾郎のヤクザ映画の常連をあてはめている配役はお見事。若手ではヒットマン役の中村倫也が、朝ドラとは全く違う狂気の演技をみせていて、個人的に大喜びです。このほか、ピエール瀧、音尾琢真という白石組の常連もそろっており、まさに大好物の作品。

 女優ではクラブを経営しながらヤクザの情婦をしている真木よう子は、完全に極道の女だし、日岡と知り合い、清純そうだが小悪魔的な動きを見せる阿部純子も非常に印象を残しました。オチもこのえぐい作品の中では妙にすがすがしい気持ちを残します。

 原作小説は3部作だそうで、ぜひとも、映画も続編を希望します。ヤクザ映画の老舗東映がこういう作品を作ってくれるのはうれしいですね。
posted by 映画好きパパ at 07:07 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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