2018年06月13日

ファントム・スレッド

 名優ダニエル・デイ=ルイスの引退作にして、ポール・トーマス・アンダーソン監督の1950年代の文芸作品のような、ゴシックな雰囲気を堪能できる作品。ただ、ヒロインの魅力が今一つ伝わってこなかったような。

 作品情報 2017年アメリカ映画 監督:ポール・トーマス・アンダーソン 出演:ダニエル・デイ=ルイス、ヴィッキー・クリープス、レスリー・マンヴィル 上映時間:130分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2018年劇場鑑賞130本目




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 【ストーリー】
 1950年代のロンドン、高級デザイナーのレイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は上流階級の女性のあこがれのもと。工房には海外の王室を含めてセレブが服をつくってもらおうと日参していた。服つくり以外は関心のない彼にかわり、レイノルズの公私ともに雑事を一手に引き受けていたのが姉のシリル(レスリー・マンヴィル)だった。独身を貫くレイノルズの愛人の面倒すらみていた。

 ある日、レイノルズは旅先のカフェでウエイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)の完璧な体形を見染める。モデル兼愛人となったアルマはどんどん洗練されていく一方で、野心も膨らんでいった。やがて…

 【感想】
 衣装、美術、音楽、すべてがうっとりとするほどエレガントで、単なる成金的なものでなく、本当のセレブというのはこういうものなのかと納得させられます。老いたデザイナー役のダニエル・デイ=ルイスの存在感も、仕事に厳しい一方、セレブ女性たちを虜にする老人ならではの男の魅力がぷんぷん。こうした俳優というのはほかにいないでしょうね。

 一方、ウエイトレスという下流の生まれのアルマは、野心と知性でどんどんのしあがっていきます。その野心はベルギーの王女にためをはろうというぐらい、はたから見れば滑稽なのだけど、逆にそこまでないと下流からセレブ社会にくいこむということはできなかったのでしょう。

 祖父ほどの年が離れていますが、最初はレイノルズが田舎の小娘をレディにしていく「ティファニーで朝食を」「プリティウーマン」といった作品かと思ったら、アルマはおとなしくしているたまではありません。レイノルズもシリルも手玉にとっていきます。

 男性にとって女性をリードする喜びもあるけれど、女性にひっかきまわされることも、特に女性経験が豊富な中高年にとって新鮮なのかもしれません。レイノルズが亡き母親の亡霊にとらわれているようなマザコンちっくな描写もありましたが、おそらく、小娘のアルマになすがままにされるというのは自分が子供のころ以来の経験なのかもしれません。

 ラストになると2人の愛はとてもいびつなものになりますが、それも純愛なのかもしれません。ヘンな話、年齢差もあって、紀州のドンファン事件すら思い出してしまいました。ただ、アルマが、長年女遊びをしていて目が肥えているレイノルズが見染めるほどの容姿があるかというと正直微妙で、共産党運動の闘士でマルクスを公私でささえて奥さん役があっていたヴィッキー・クリープスはミスキャストのような気がしました。それでも前半のエレガントな展開が後半どんどんグロテスクになっていく筆力はさすがはアンダーソン監督でした。
posted by 映画好きパパ at 07:20 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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