2018年07月09日

焼き肉ドラゴン

 昭和40年代の在日朝鮮人一家の生活を描いた同名舞台の映画化。なんといっても井上真央の怪演と韓国の名バイブレイヤー、キム・サンホの存在感にしびれました。

 作品情報 2018年日本映画 監督:鄭義信 出演:真木よう子、井上真央、キム・サンホ 上映時間:127分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2017年劇場鑑賞150本目



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


 【ストーリー】
 昭和44年、大阪の在日朝鮮人が住み着くドヤ街で焼き肉屋を営む金田龍吉(キム・サンホ)は、しっかりものの妻、英順(イ・ジョンウン)、静花(真木よう子)、梨花(井上真央)、美花(桜庭ななみ)の3人の娘と末っ子の時生(大江晋平)の大家族で貧しいながらも幸せに暮らしていた。

 梨花が幼なじみの哲男(大泉洋)と結婚することになった。だが、哲男は自分の不注意で足が不自由になった静花のことを内心思っており、そのことを察知している梨花は面白くなかった。美花は勤務先のキャバレーの支配人(大谷亮平)と不倫をしており、時生は日本人の学校に通っていたが、強烈ないじめをうけていた。やがて町の再開発計画が起こり、龍吉一家は立ち退きを迫られる…

 【感想】
 高度成長期の裏側というか、今よりもっと在日朝鮮人差別が激しかった時代に、懸命に生きる一家の物語。同様のテーマでは「パッチギ」があるけど、「パッチギ」の在日朝鮮人たちが戦後補償も含めてとにかくうるさく、ちょっと勝手ではないかと思わせたのに対して、本作の龍吉は、個人ではどうしようもない不運や差別にも負けずに精一杯生きようとしているところが、心をうちます。

 特に昭和40年代は北朝鮮も韓国も、とても住みよい国とはいえなかったし、韓国政府による済州島住民虐殺や朝鮮戦争で故郷も奪われてしまった龍吉にとって、好む好まざるにかかわらず、大阪を第二の古里にしなければならなかった。それだけに、働いて働いて働いて、日本人に騙され、ひどい目に遭わされて、ようやく手につかんだささやかな幸せすら、奪われようとする理不尽な龍吉の心の叫びが、何ともつらい。

 かといって、あまり重苦しくせず、長女と二女の恋のさや当てや、三女の不倫をめぐる騒動などをおもしろおかしく描くことで、陰惨な雰囲気をふきとばしています。だからこそ、重たく真剣な場面が、よりいっそう際立つのです。龍吉と時生がごみごみした町を観ながら、「明日は良い日になるような気がする」という名言がひたすら心に刺さりました。個人的には「怠け者が怠け者の服を着て怠けている」という表現がツボにはいりました。

 演者はみなすごかったけど、なんと言ってもこれまでのイメージを吹き飛ばすのが井上真央。関西弁でふがいない旦那を怒鳴り散らした上、濃厚なキスをみせつけます。優等生イメージの強かった彼女も演技に開眼したのではないでしょうか。桜庭も同様で、これまたお嬢様イメージが強い彼女を、愛に盲目でしたたかな若い女になりきっています。大泉と真木が手堅く固めた上、両親役の韓国人俳優2人が片言の日本語を駆使しながら、日韓のはざまで生きる難しさを好演しています。

 時代背景を知ればより理解が深まるので、日本だけでなく、北朝鮮への帰国事業や韓国の軍事政権下での在日朝鮮人の扱いなどについて、なんとなくでも知っておいたほうがいいかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 07:28 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。