作品情報 2017年アメリカ映画 監督:デイヴ・マッカリー 出演:カイル・ムーニー、グレッグ・キニア、マーク・ハミル 上映時間:97分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2017年劇場鑑賞151本目
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【ストーリー】
25歳の青年、ジェームス(カイル・ムーニー)は、汚染された外界から隔絶されたシェルターのなかで、やさしい両親(マーク・ハミル、ジェーン・アダムス)と暮らしていた。外に出られず、唯一の気晴らしは、クマの着ぐるみが活躍する教育番組「ブリグズビー・ベア」のビデオ。ネットのファンサイトや両親と番組のことで盛り上がっていた。
ところが、突然、警察が乱入してくる。実は両親と思っていた2人は、まだ赤ちゃんだったジェームスを誘拐して、自分の子供として監禁して育てていたのだ。「ブリグズビー・ベア」も実際の番組でなく偽の両親が作っており、ネットの書き込みも偽物だった。本当の家族のもとにもどったが、外界は何もかもとまどうことばかり。そんなジェームスはある計画を思いつく…
【感想】
子供が長い時間監禁されたという題材は映画でもたまに取り上げられます。英国アカデミー賞をとった「ルーム」では、誘拐主が徹底的なモンスターとして描かれていましたが、誘拐主と特別な感情を持つというのは非常にセンシティブで、日本でもテレビ朝日の幸色のワンルームが批判を浴びて放映中止(大阪朝日放送は中止にせず)になったことは記憶に新しいところです。
本作では、「ブリグズビー・ベア」に育てられたジェームスが、偽の親と同様、偽のテレビ番組を本物として信じてしまうという、何とも言えない皮肉な構造です。けれども、ジェームスは自分の不幸をなげきません。むしろ、自分の大好きだった「ブリグズビー・ベア」の続編を自分の手で作りたいと思い込みます。
25年間も監禁され、社会常識はゼロ。しかも、監禁された象徴である「ブリグズビー・ベア」について、本当の親(アンディ・サムバーグ、ミカエラ・ワトキンス)もカウンセラーのエミリー(クレア・デインズ)も気に入りません。また、高校生の妹、オーブリー(ライアン・シンプキンス)は自分たちの平穏な生活を壊した兄そのものに冷たい視線をあびせます。
それでも、ジェームスの熱意は周囲を少しずつかえていきます。オーブリーの同級生で映画作家志望のスペンサー(ホルヘ・レンデボルグ・Jr)や担当刑事のヴォーゲル(グレッグ・キニア)を巻き込んで、映画作りが始まりました。
中でも感動したのはヴォーゲルを仲間にいれたときのこと。学生時代演劇をしていたヴォーゲルが「大人になったから」と、俳優になる夢をあきらめていたことに、ジェームスは不思議そうな顔をします。大人になったからできないなんていうのはいいわけにすぎない。映画でもアニメでも、子供の頃に観たものの続編をみたいと思った経験がある人ならば、どんな困難があっても負けずに映画作りに邁進するジェームスを応援したくなるでしょう。むしろ、エミリーのように常識しか言わない人は、創作の邪魔でしかないわけです。
さらに、スターウォーズのマーク・ハミルが偽の父を演じるというのも、スターウォーズのルークとダースベーダーの本歌取りともいえますし、ルークの役にとらわれて、その後、恵まれなかったマーク・ハミルの俳優人生へのリスぺくトともいえます。とにかく見終わってほっこりすること間違いなし。人生に疲れている人などはぜひみるべきと太鼓判をおします。
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