2018年08月03日

ウインド・リバー

荒涼たるアメリカ辺境のネイティブアメリカン保留地で起きた殺人事件。猛吹雪の過酷な環境と、アメリカの商業社会から見捨てられた人たちについての現代のハードボイルドです。

 作品情報 2017年アメリカ映画 監督:テイラー・シェリダン 出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン、グレアム・グリーン 上映時間:107分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート渋谷 2018年劇場鑑賞174本目



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 【ストーリー】
 ワイオミング州のインディアン居留地ウィンド・リバーで、家畜を襲ったピューマを駆除にいった野生動物局のコリー(ジェレミー・レナー)は、雪に埋もれた若いネイティブアメリカンの女性ナタリー(ケルシー・アスビル)の遺体を発見する。ナタリーは裸足で複数の人間に陵辱されたあとがあった。

 FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)が捜査にきたが、ナタリーの直接の死因が、逃げ出す途中の凍死(肺に血がたまる窒息死)だったため、応援は得られなかった。そのため、部族警察のベン(グレアム・グリーン)、コリーに捜査協力を依頼する。元妻ウィルマ(ジュリア・ジョーンズ)がネイティブインディアンのコリーは白人だが保留地の捜査にうってつけだったが…

 【感想】
 零下30度まで冷え込み、野生動物がうろつく冬の荒野。とても人の住める環境に思えません。さらに、ネイティブアメリカンから取り上げた土地の代わりに辺境に押しやった保留地の現場や、文化が断絶させられ根無し草になることの哀しさといったアメリカの暗部を告げてくれます。

 しかも、貧しく、職もない保留地では、貧乏な生活を送るか、犯罪に手を染める若者も多い。一方、白人に対しては距離を置く。そんななかで起きた殺人事件をどうやって解決するか。しかも、少しずつ明らかになるコリーの過去も、また凄惨なものです。ニューヨークやロスといったアメリカの輝ける部分からは想像もつかない、悲惨な生活を送らざるを得ないというのもまたアメリカの現実なんでしょう。

 さらに銃社会の恐ろしさや、縦割りの弊害というのも背景になっています。州警察は保留地での捜査権はなく、一義的には部族警察が捜査する必要があります。しかし、部族警察は職員が数人しかおらず、まともな捜査能力ももちません。頼みのFBIもラスベガスからきたという頼りなさそうなお姉ちゃんが一人。雪山を歩く装備すらもっていません。FBIにとっては、ネイティブインディアンの女性が1人死んだのなんて、たいした事件にないとみていることがうかがわれます。さらに、終盤でも捜査権の問題が大きな障害としてでてきます。銃社会についてはいわずもがな。こういう辺境であればあるほど、生活に銃が使われ、それが犯罪につながる可能性もあるのです。

 ミステリー自体はたいしたことがないのですが、極限状態での犯人との対決など、中国映画の「シリアナ」のように、まさに生きるか死ぬかの厳しさが伝わってきます。コリーとジェーンが変な関係にならず、純粋なパートナーとして捜査をするという展開も渋い。ジェレミー・レナーはハードボイルドな役が本当に似合いますね。

 スクリーンをみているだけで、一面の雪景色と哀しみに身も心も凍てつきそうになります。猛暑の日本で観るにはうってつけかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 08:20 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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