2018年08月15日

スターリンの葬送狂騒曲

 ソ連の独裁者スターリンが急死したときの、側近のドタバタ劇。皮肉がきいているためか、ロシアでは上映禁止になった曰く付きの作品です。しかし、事実はもっとひどかったわけで、独裁政権の恐ろしさを実感します。

  作品情報 2017年フランス、イギリス、ベルギー、カナダ映画 監督:アーマンド・イアヌッチ 出演:スティーヴ・ブシェミ、サイモン・ラッセル・ビール、オルガ・キュリレンコ 上映時間:107分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2018年劇場鑑賞183本目




ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


 【ストーリー】
 1953年、気に入らない人物を次々と粛正し、国中を恐怖に陥らせた独裁者スターリン(エイドリアン・マクラフリン)が倒れ、意識不明の重体に。スターリンの補佐官マレンコフ(ジェフリー・タンバー)、粛正を取り仕切った秘密警察の親玉で副首相のベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)、モスクワ党第一書記のフルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)ら、前日までスターリンにこびへつらっていた幹部たちは、次期後継者の座を巡って、激しく争うようになる。

 失脚すれば命にかかわる幹部たち。あの手この手を使った謀略戦は端から見れば滑稽だったのだが…

 【感想】
 あまり露骨に粛正のすさまじさを描いても仕方がないと思ったか、イギリス流のブラックユーモアとフランス流の皮肉をきかせながら、独裁者の権力を描いています。冒頭、モスクワ放送交響楽団のラジオ演奏のシーンから始まります。スターリンから録音を聞きたいと要求されますが、録音していなかったラジオ局は真っ青に。コンサートを最初からやりなおすありさまです。ロシアを代表する女性ピアニスト、マリヤ・ユーディナ(オルガ・キュリレンコ)があきれるのも無理がない。

 さらに、スターリンが寝室で倒れても、護衛の兵隊は様子を見て粛正されるのを恐れてそのまま、駆けつけた側近たちは医者を呼ぼうとしますが、有能な医者はすべて粛正されており、藪医者しか残っていないありさま。スターリンの息子、ワシーリー(ルパート・フレンド)は父親の権力を笠にわがままほうだいと、本人たちが真面目なだけに、滑稽さが際立ちます。

 その一方で、幹部たちは人民の命をなんとも思っていません。罪にならない理由で処刑される人々、市民に対して平然と発砲する秘密警察。それでもスターリンの人気が庶民にあったというのは何とも言えません。知識階級や高級官僚、政治家が粛正されることに喝采をはなっていたのでしょうね。

 ストーリーはおおむね史実にそっていますが、やりすぎともいえる側近たちのこびへつらいと、一転してスターリン死後の権力闘争はかなりユーモラスティックに誇張されています。けれども、そうでないと陰惨でとてもやりきれないのでしょうね。自分のことしか考えず愚かな政治家たちのなかで、マリヤ・ユーディナの颯爽とした姿が一服の清涼剤です。しかし、これをみるとやはり共産党独裁というのは怖いなあ。
posted by 映画好きパパ at 07:33 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。