2018年08月18日

追想

 愛するためには心も体も大切なんだよなという身も蓋もないことを思い出させる恋愛映画。クラシック主体のBGM、美しい英国の田園風景と格調高くみせて、しょせんは動物に変わらないという人間の愚かさをみせるシニカルな語り口はちょっとはまってしまいそうです。

 作品情報 2018年イギリス映画 監督:ドミニク・クック 出演:シアーシャ・ローナン、ビリー・ハウル、アンヌ=マリー・ダフ 上映時間:110分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2018年劇場鑑賞185本目




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 【ストーリー】
 1962年、聡明な大学生エドワード(ビリー・ハウル)と学生バイオリニストのフローレンス(シアーシャ・ローナン)は恋に落ちる。金持ちの令嬢と、事故で知的障害となった母マージョリー(アンヌ=マリー・ダフ)を持つ庶民のエドワード。育った環境も違ったが、若い2人の燃え上がるような愛はそうした障害を簡単に乗り越える。

 卒業後、無事、結婚した2人。エドワードはフローレンスの父ジェフリー(サミュエル・ウェスト)が経営する会社に勤めることとなり、前途は洋々に見えた。だが、風光明媚な港町を新婚旅行で訪れた2人に思いがけないトラブルが起きる…

 【感想】
 愛さえあれば何もいらないと思っているのは恋人同士の間だけで、結婚して地に足がつく生活がはじまると、恋人の間では気づかなかった相手のささいな欠点というのが目につくようになります。特に、思いがけない自体がおきたときにどのような対応をとるか。日本でもかつて成田離婚という言葉が流行しましたが、そのトラブルを乗り越えるだけの度量、優しさがあるかどうかが本当の愛といえるのかもしれません。

 映画は新婚旅行の2人とラブラブだった2人の出会いを交互に映し出します。気むずかしいジェフリーともそつなくこなして、上流階級の仲間入りもできそうだったエドワード。事故でおかしくなったけれど絵画が大好きなマージョリーと同じ芸術家気質ということでうまくやってきたフローレンス。前途洋々の未来がまっていた幸せいっぱいのバカップルぶり、そして、バイオリニストのフローレンスの好きなクラシックの数々、エドワードの好きなチャック・ベリーといったBGMもうまくはまり、この部分だけみていれば、ハーレクインロマンスのような甘ったるい恋愛映画。

 けれども、人生はそんな単純ではありません。ここからはネタバレなので、未見のかたはよまないほうがいいかも。







時代背景もあってか、エドワードとフローレンスは童貞と処女でした。初夜になって初めて愛し合おうとするけど、互いにやりかたがうまくいきません。だんだんイライラしてくる2人の様子に、ラブラブだった時代がカットバックするというなんとも意地の悪い演出。それも、うまくいかなさ具合が妙にリアルなのがみているこちらもイライラします。原作小説を書いたイアン・マキューアンが脚本を手がけていますが、本当にイギリス人らしいいやらしさをかんじます。

 うまく初夜ができなかった2人は互いに自分のちっぽけなプライドを守ろうとします。せめて相手を思いやったり信じきれる度量があればよかったのでしょうけど、わかくて自分の才能に自信のもつ2人にそれは無理だったのでしょう。24時間もしないうちにスピード離婚にいたってしまいます。

 物語の奥深いのはそれで終わりではなく、中年になった2人と、老人になった2人のエピソードをもたせたこと。この2つの場面が非常に味わい深く、人を愛するというのはどういうものなのか、胸にぐっとくるものがありました。特にラストシーンの演出はすばらしい。若者の情熱と愚かさを描きつつ、老人の視点からも振り返るという、まさに文学的な恋愛映画でした。
posted by 映画好きパパ at 08:52 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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