2018年08月30日

さくらになる

 池袋のシネマロサの新人監督特集で、上映期間が短く31日までなので、順番をいれかえて本日記事をアップします。滅び行く世界という僕の好きなテーマで事前の期待は高かったのですが、途中まではちょっと想定したのとは違って、がっくりしてました。けれどもラストシーンが素晴らしく、最後に満足できました。

 作品情報 2017年日本映画 監督:大橋隆行 出演:ミネオショウ、太田いず帆、藤田健彦 上映時間:79分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:池袋シネマロサ 2018年劇場鑑賞199本目 




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 【ストーリー】
 人体から桜の花が出て、やがて死に至るという奇病「桜病」が蔓延している近未来。幼い頃を弟を桜病で亡くした紗綾(太田いず帆)は、母(武藤令子)が桜病に感染したと聞き、恋人の翔太(ミネオショウ)とともに久しぶりに実家に帰る。

 翔太は桜病の研究のため、桜を調査する仕事についていた。政府の対策にもかかわらず感染が広がる桜病。世界はゆっくりと滅びつつあった。

 【感想】
 洋画だと「トゥモロー・ワールド」、邦画だと「太陽」「さようなら」。いずれも謎の奇病で世界がゆっくりと崩壊していく物語で僕の大好きなジャンルです。ゾンビものもそうだといえるけど、サバイバルメインで騒々しい。「コンテイジョン」「アウトブレイク」のような実際に疫病が発生した映画もパニック映画や事態を解決しようというヒーローが活躍してしまい、滅びの美学というのを感じない。何よりゾンビものも含めて主人公が生に執着しすぎている。そうした観点から、滅びの美学を期待させる予告篇やチラシをみてすごく楽しみにしていました。

 実際みてみると、確かに滅びの美学はあります。冒頭の団地でのロケは、建物の無機質観がこの世界にマッチしていて、ひきこまれました。ただ、邦画特有の大げさに騒いだり、泣き叫んだりというシーンの印象が中盤まで非常に強い。序盤は、エピローグ的なエピソードが入りますが、ぶつぶつと「桜の木の下に死体が埋まっている」とつぶやき続けるなどリアルな熱演もあり、こういう病気が広がっている世界観は分かるとはいえ、サバイバル的な要素が強いのかなと思ってしまいました。

 紗綾のパートにうつるとそうでもなくなりましたが、それでも、彼女がトラウマ的に思い出す幼い弟と母の思い出場面は、人間の生の感情がむき出しになっていて、静謐な世界観とそぐわない。これは映画の良い悪いではなくて、完全に好みの世界なんだけど、それこそ邦画って、主人公に慟哭させて終わりってパターンが結構あって、もっと静かに滅ぶ世界を観たいのになと思っていました。

 しかし、後半になり、桜の調査をする翔太がメインとなって、それにつきそう紗綾や同僚の河原崎(古川照之)との、もう、世界の崩壊を防ぐことはできないどうしようもなさというのに、続々してきました。そして、極めつけはラストの紗綾の行動です。上映後のトークショーで大橋監督は観る人によってハッピーエンドかバッドエンドかにわかれるといいましたが、僕自身は完璧なハッピーエンドで、すごい印象に残る終わり方でした。中盤までの不満がこれでいっきに快感に変わった。

 俳優陣は知らない人ばかり(厳密に言えば、先週観た大橋監督の短編映画にはでていたけど)で、それがかえって、桜病が蔓延する世界の日常をうまく伝わってきたのかなという気がします。上映後のトークショーで紹介されていましたが、梶井基次郎、坂口安吾から始まって、日本人にとって桜と死のイメージは普通なんでしょうね。だから、低予算でもSFのおもしろさが伝わってきたと思います。

posted by 映画好きパパ at 07:05 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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