2018年09月29日

判決、ふたつの希望

 何気ないささいなトラブルが国を揺るがす騒動に発展する様子を描いたレバノン映画。中東の複雑な情勢下ではちょっとしたバランスでどうなるかわからないけど、でも人間の歴史を振り返ると、どこの国で起きても不思議はないとも思えます。

 作品情報 2017年レバノン、フランス映画 監督:ジアド・ドゥエイリ 出演:アデル・カラム、カメル・エル・バシャ、カミーユ・サラメ 上映時間:113分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2018年劇場鑑賞219本目




ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【ストーリー】
 レバノンの首都ベイルート。工事監督のヤーセル(カメル・エル・バシャ)は不法建築のアパートのベランダから落ちた水で濡れてしまう。住人のトニー(アデル・カラム)にベランダを直すように指摘するが相手にされず、カッとして「クズ野郎」と叫んでしまう。

 翌日、トニーのところに謝罪へいったヤーセルだが、パレスチナ人のヤーセルに対して、トニーは民族的な差別語をはき、ヤーセルはトニーを殴りつける。トニーから謝罪と損害賠償の裁判を起こされたヤーセル。やがて、レバノン人とパレスチナ人、キリスト教徒とイスラム教との対立が起き、国を2分する騒動になってしまう。

 【感想】
 中東の歴史にあまり詳しくないのですが、パレスチナ人はイスラエルによって追い出されたイスラム教徒で中東に難民となっています。一方、トニーはキリスト教徒で親イスラエルの政党に所属しており、劇中に言及されているシャロンとはイスラエルの元国防相、首相です。パレスチナ人とすれば難民として生活の基盤ができず、レバノン人にすれば、難民ばかりが優遇されているという思いがあります。

 訳語がどうなのか、現地での侮辱のありかたはどうなのかわかりませんが「クズ野郎」という言葉で、ここまで問題がこじれてしまうというのはすさまじい。トニー、ヤーセルとともにカッとなりやすい短気な部分があり、どちらかがちょっと寛容の心をみせればよかったのに。実社会でも偏狭な人がおおく、トラブルの原因になるのと一緒なんですけどね。

 中東では今も戦火が収まらず、宗教の対立、民族の対立が続いています。裁判になると双方の弁護士が、原告、被告双方の過去を暴き立て、この中東の対立が何十年も続いている、その氷山の一角でしかないことが明らかになります。けれども、ヨーロッパ、アメリカ、中国と世界中で難民や少数民族、不法移民が問題となっており、本当にどこでこのような話が起きてもおかしくない、根っこの部分は同じなんですよね。

 レバノン映画は初めてで、出演者も初めて認識する人ばかりでした。中東の人はみな一緒に見えるのに、地元の人から見ればちゃんとパレスチナ人、レバノン人と見分けがつくのかというのもちょっとびっくり。しかし、こういう社会派をレバノンのような小国の映画界でもしっかりととらえて、上質な劇映画にしてしまうというのは本当にすごかったです。
posted by 映画好きパパ at 07:21 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。