2018年10月12日

若おかみは小学生!

 テレビ東京で日曜朝やっていたそうで、それをみていた娘にせがまれて一緒に鑑賞しました。絵柄やタイトルから子ども向けと侮っていたら、大変深い内容で驚きました。今年みたアニメ映画ではベストの作品です。

  作品情報 2018年日本映画アニメ 監督:高坂希太郎 声の出演:小林星蘭、水樹奈々、松田颯水 上映時間:94分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2018年劇場鑑賞231本目




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 【ストーリー】
 おっこというあだ名の小学校6年生織子(声・小林星蘭)は両親が交通事故で亡くなった。同乗していたおっこは奇跡的に無傷で、伊豆で小さな温泉宿「春の家」を営む祖母の峰子(一龍斎春水)に引き取られる。

 宿についておっこは驚いた。自分と同じ歳くらいの男の子がふわふわと浮いているのだ。ウリ坊(松田颯水)と名乗るその子は幽霊で、自分の姿がみえるおっこに大喜びする。ウリ坊との会話を聞いた峰子は、おっこが旅館を手伝ってくれると勘違い。なりゆきからおっこは若おかみになるのだが…

 【感想】
 テレビ版や原作をみていなくても、まったく問題なく楽しめます。前半は若おかみ修業中のおっこのドタバタ劇。ウリ坊や、同じく居着いてしまった女の子幽霊、美陽(遠藤璃菜)に助けられ、大手旅館のあととり娘でピンクのふりふり服を着ていることからピンフリと呼ばれる勝ち気な真月(水樹奈々)に、「若おかみじゃなくてバカおかみ」と嫌みをいわれつつも奮闘する様子はこちらが応援したくなります。

 好意が空回りして、客と喧嘩することもあるけれど、おっこの熱意が伝わって物事は良い方に進みます。ところが中盤から一転、話はシリアスに。働くことの意味や、そもそも人が人を嫌うことの意味など、根源的なテーマにはいっていきます。すごいなあと思ったのが、子どもが観てもわかりやすく、でも大人が観たら深く考えさせられるということに成功させていること。ありふれたパターンなら、こう解決するだろうという道をとらず、苦しみにぶつかり、それを乗り越えてどう成長していくかを完全に描ききっているのです。このあたりは映画オリジナルで、脚本の吉田玲子の手腕がともかくすばらしい。

 また、キャラクターが脇役にいたるまでいきいきとしており、まるで実際に花の家があって、そこに住んでいる人たちをみているようなのです。これは「この世界の片隅に」にも通じるところがありますが、小学生が主人公で、幽霊まででてくるのに、そう思わせるというのもほんとうにすごい。例えば、真月は最初は嫌みな金持ち娘かと思いきや、だれよりも温泉街の将来を考えて、猛烈に勉強しており、おっこが自分でおかみの道を真剣に考えたとき、はじめて、いじわるなライバルではなくて、ともに次代を支える親友になるということ。また、ウリ坊も見た目は子どもですが、幽霊で長年生きている(?)だけに、実に的確におっこにアドバイスしています。

 そして、峰子をはじめとする宿の人たち、それぞれに問題を抱えて宿を訪れる客たち。中でも美人占い師グローリー・水領(ホラン千秋)とおっこの歳の離れた2人にでる友情は、2人のファッションショー的なサービスカットも楽しんだ上、終盤の展開に胸が熱くなりました。

 高坂監督はジブリの作画監督として宮崎駿監督の片腕ともいわれたそう。本作の作画監督の広田俊輔は「君の名は。」の作画監督ですし、音楽はあの鈴木慶一です。細部に至るまで実際の動きが再現され、例えば旅館のおかみとして畳を歩く際は何歩で歩くとか、ちらっと出てくるポルシェの内部とか、非常にリアルに再現されています。それでいて萌え絵なのだから本当にすごい。

 映画館には一人できている中高年も結構いましたし、まだ観ていない人は是非ともどうぞ。

posted by 映画好きパパ at 07:26 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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