作品情報 2018年日本映画 監督:井口昇 出演:中川大志、唐田えりか、小池徹平 上映時間:95分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2018年劇場鑑賞246本目
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【ストーリー】
高校2年で超イケメンの古谷斗和(中川大志)は赤ちゃんのころから女子にモテモテ。ところが、親友の新見律(健太郎)たちから、実は特定の彼女と付き合ったことがなく、女子からは観賞用としてしかみられていないと突っ込まれ、学校一の美少女、三輪美苑(唐田えりか)に告白する。
ところが一瞬にして振られた斗和は、律たちの協力もえて、あの手この手でアプローチするのだが、すべて空振り。とうとう、美苑が住むアパートの隣の部屋に引っ越すという最終兵器を繰り出すのだが…。
【感想】
脳天気なラブコメと思いきや、貧困の問題、大切な人を失ったときの喪失感など、意外と骨太のテーマをちりばめており、終盤へ向けて思い切り盛り上げ、本当に切なくてたまりませんでした。井口監督だったら、片手をマシンガンに改造して恋敵を全滅させてもおかしくないのに、なんでこんなにしっとりとした作品を作れるのだろうと妙に感心しました。
実は美苑が登場して、神奈川一の美少女とかいわれたときに、正直、新木優子とか橋本環奈ならともかく、唐田えりかではちょっと違うのではとあなどっていました。しかし、逆に変に芸能人ぽくなく、いかにもリアルな女子高生にみえる雰囲気と、芸達者な中川と好対照の素朴な感じが美苑にはどんぴしゃり。斗和が追いかけるのも無理がないと思わされました。
もちろん、隣の部屋まで引っ越してくると言うのは現実だったらストーカーみたいな行為でしょう。でも、純愛一直線の斗和を美苑がちゃんと見抜いていたのと、演じる中川のイケメンぶりがあいまって、不思議といやらしさを感じないテイストに。美苑があこがれる美術教師の柾木(小池徹平)はもちろん、律ら斗和の友人たち、さらには借金の取り立てに来たヤクザ(荒川良々)まで、観ていて不快なキャラクターがでてこなかったのが気持ち良かった。
そして、貧困、格差がテイストにはいっているのも趣きがあります。シングルマザーに育てられた美苑の家計は苦しく、ヤクザにカネをかりて、ろくなものが食べられません。そんな彼女に同情ではなく、一人の人間として接して、友人として何とか助けたいと奮闘する斗和は、見かけ以上に内面が格好良い。
そして、美苑も受け身なだけでなく、自分の不幸な境遇と戦いつつ、ちゃんと自分で好きな人を選ぶ自立した女性というのもよかった。単純に付き合ってハッピーハッピーでなくて、それぞれこの世界に生きている人が描かれているという地道さを感じました。
それにしても唐田は「寝ても覚めても」の愛欲にぼけたOL役とは違って、賢く自立した女子高生になりきってみられるのだからたいしたもの。今後が期待されます。また、深夜ドラマで斗和たちの別のエピソードを放送したそうですが、僕も未見ですし、みなくても十分楽しめました。
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