2018年11月07日

止められるか、俺たちを

 昭和40年代に若松孝二監督の下で、ピンク映画としては異例の女性助監督になった吉積めぐみを描いた青春ドラマ。映画界も政治も熱い時代だったことが伝わってきます。

  作品情報 2018年日本映画 監督:白石和彌 出演:門脇麦、井浦新、山本浩司 上映時間:119分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2018年劇場鑑賞265本目



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 【ストーリー】
 1969年、21歳でフーテンだった吉積めぐみ(門脇麦)は、ピンク映画、アングラ映画界で人気を呼んでいた若松孝二監督(井浦新)の作品に感動し、弟子入りを志願、若松プロダクションに助監督として採用される。若松組の現場は人使いが荒く、めぐみも若松の罵声に耐えながらも仕事をこなしていく。

 厳しい現場でも、若松プロの若手監督、足立正生(山本浩司)の励ましをうけながら、めぐみは次第に成長していく。だが、めぐみは監督になりたくても、何を撮りたいのかが分からなかった。同世代のスタッフと交流していくうちに、めぐみは…

 【感想】
 若松監督には10数年前にお話を聞いたことがあります。非常に好々爺然していましたが、「最近の若い連中は、半径10メートル以内のものしか撮らない。もっと社会を変えるような作品を撮らなければだめだ」と語るときは非常に真剣でした。当時、昭和40年代の作品を何本かみましたが、よくわからないけれどすさまじいエネルギーで、政府、制度、常識といった鬱屈させるものを破壊しようという意気込みが感じられました。本人は政治的といわれますが、「自分が面白いと思った映画を撮っただけ」とも語ってました。

 「孤狼の血」などで、邦画界に旋風を起こしている白石和彌監督も若松門下。彼の最近の作品はとにかくパワーにあふれているのですが、本作は先輩たちの青春を描くと言うことで、非常に柔らかな視点になっていました。足立監督をはじめ、存命している人が協力しているがゆえに、どこまで事実かわかりませんが、とにかく若者が熱い時代を再現しています。

 今ではパワハラと呼ばれるような若松組の現場。低賃金(ギャラだけはでるといっていた)で、長時間労働、タバコの煙が蔓延し、怒鳴り声が飛び交っています。今だったら若者はよりつかないでしょう。ただ、そういったものだから作れる作品というのはあるのですよね。今の時代の価値基準からみて良いかはわかりませんが、少なくとも当事者はそういう境遇にあまんじながらも、映画作りの情熱や、社会を変えようという意欲にあふれていたわけです。

 一方、恋愛や将来への悩みといった若者の普遍の問題もめぐみたちはどっぷりつかります。ただ、若い映画人のやんちゃも、今だったらネットでたたかれてとてもできないだろうと思われるし、時代の差とはいえ、世知辛い世の中になったなという気はします。

 門脇はこういう役柄にはぴったりですね。くわえたばこをしながらゴールデン街にいりびたり、男に負け時と現場に入る様子が本当にはまっている。めぐみという昭和40年代に青春を送った映画人という役は彼女しかできなかったでしょう。そのほか、彼女と同世代の映画人は、それほど知名度のある役者はいませんが、熱気という面では見事に当時を再現していました。また、寺島しのぶ、奥田瑛二といった、若松と関係ある大物がカメオ的に出演しているのも、こうした題材にはぴったりでした。上映館は少ないけれど、若い世代にこそ観て感じてほしい作品でした。

posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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