2018年12月30日

シュガーラッシュ・オンライン

 2012年のアニメ、シュガーラッシュの続編で、ゲームの世界だけだった前作から今回はインターネットの世界に飛び出します。テーマも広がり、前作より好き。

 作品情報 2018年アメリカ映画(アニメ) 監督:リッチ・ムーア、フィル・ジョンストン 声の出演(日本語版):山寺宏一、諸星すみれ、菜々緒 上映時間:113分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:横浜シネムービル 2018年劇場鑑賞321本目



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 【ストーリー】
 80年代のゲームの悪役ラルフ(声・山寺宏一)と、ファンシーなレースゲームのレーサー、ヴァネロペ(諸星すみれ)は親友だった。だが、毎日が同じように続くことを願うラルフと違い、ヴァネロペは退屈な日常に飽き飽きしていた。ヴァネロペのために、レースコースを替えたラルフのせいで、ゲームそのものが故障してしまい、廃棄される大ピンチに。

 修理部品がインターネットというところで手に入ることをしった2人は、さっそく、インターネットの世界に飛び込む。そこは想像を超えたわくわくする世界だったのだが…

 【感想】
 子供がみても楽しめますが、大人のほうがより深く鑑賞できる作品でしょう。単にゲームキャラクターの成長物語だった前作と違い、今作では(1)インターネットの光と闇(2)友情とは何か(3)ジェンダーとは何か(4)金儲けとは何か、とそれだけでも長編映画がとれそうなモチーフをとりこみ、かつ、エンタメとして笑って泣ける作品に仕上げています。

 インターネット世界は見事に擬人化されており、グーグル、アマゾンから楽天といった企業が実名で登場。そこで情報は人間のアバターになっており、ラルフたちが入っても何ら不思議はありませんでした。ツイートはもちろん鳥ですし。その世界は巨大な都市であり、ネットの発展とともにどんどん高層ビルになっていきます。ポップアップ広告は、押し売りのようなアバターになっており、ウイルスはモンスターになっています。グーグルがぴかぴかの巨大ビルだったのに、ダークウェブが地下の薄暗い世界になっているなど、イメージもよくできていました。

 そして、誰もがスターになり、金儲けでき、世界中とつながって遊びもモノも、友達すら何でも手に入る光の部分も、人間の悪意が向けられる闇の部分もしっかりと描かれています。だからといってネット社会を排除するのではなく、ヴァネロペがオンラインゲームの汚い世界観のなかで踊るというのは、善悪つけがたいところが面白いところなのだといいたいのかもしれません。

 予告篇でも話題になったディズニープリンセスの勢揃い。最近はジェンダーのポリティカルコレクトネスを反映しているディズニーアニメですが、ここでは、お姫様って本当はどうなの、とこれまでのディズニー主導した性別役割の突っ込みを真っ正面からいれています。さらに、ネット社会のレースゲームでライバルとなるシャンク(菜々緒)のクールさをみせることで、ジェンダーについて古い価値観を揺さぶります。

 友情については、アメリカらしい、変化こそ正しいという見方を踏まえつつも、でも、安定が大事だよねという意見にも目配りしているというのが、新鮮でした。さらに、友情というのはいつまでも同じものでなく、時とともに変わっていく、でもそれを乗り越えられるのは真の友情という、これまた道徳的なテーマを、今風にきちりとうちだしているのも最近のディズニーらしい、心地よさです。観客のほうも大人だから理解できるという点もあるのではないでしょうか。

 まあ、難しいこと考えなくても、プリンセスだけでなくマーベルやスターウォーズのキャラなどが山のように出ていますし、前作同様、パックマンやザンギエフといったアニメキャラもじゃんじゃん登場しますから、そういう小ネタを探すだけでも十分楽しい。吹き替えの場合、松たか子、所ジョージといった主役級の俳優が、ほんのわずかなセリフのためにでているというのもニマニマみてしまいます。

 ちょっと残念だったのが、予告篇と本編で日本語の吹き替えセリフがかわっていたことです。これは予告篇のほうが良かった。それでも、作品本体としてはケチのつけようのないすばらしさでした。

posted by 映画好きパパ at 07:42 | Comment(0) | 2018年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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