2019年01月30日

未来を乗り換えた男

 ナチス迫害で亡命した作家の原作を、現代に置き換えた物語。ファシズム的なポピュリズムの蔓延、難民の迫害といった現代の政治情勢と男女のメロドラマをミックスさせてますが、すべてを理屈で納得させたい人には不向きかも。

 作品情報 2018年ドイツ、フランス映画 監督:クリスティアン・ペッツォルト 出演:フランツ・ロゴフスキ、パウラ・ベーア、ゴーデハート・ギーズ 上映時間:102分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2018年劇場鑑賞24本目



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 【ストーリー】
 ドイツ軍の侵攻が進む現代のフランス。ドイツからパリに逃げ出してきたゲオルグ(フランツ・ロゴフスキ)は、仲間から作家のヴァイデルに手紙を渡すよう頼まれる。だが、ヴァイデルは自殺しており、遺稿とマルセイユにいる妻、マリー(パウラ・ベーア)宛、メキシコ領事館宛の手紙があった。

 それらをもってマルセイユに脱出したゲオルグは、メキシコ領事館へ手紙を届けに行く。すると領事はゲオルグとヴァイデルを勘違いし、ゲオルグにメキシコ行きの旅券とビザを渡す。一方、マリーはヴァイデルを捨て、愛人と先にマルセイユへ逃げ出していた。マリーに手紙と旅券を渡そうと行方を捜すゲオルグだったが…

 【感想】
 ドイツ軍がなぜ現代のフランスに攻め込んでいるのか、そしてゲオルグがなぜ故国のドイツから追われているのか詳しい説明はありません。現代が舞台なのにスマホも携帯もでてきません。このあたりが受け付けられない人もいるみたいですが、それでも今の欧州を取り巻く不穏な空気はひしひしと感じられます。

 冒頭、パリでは警察がドイツ軍に協力して、ビザを持っていない不法滞在者の取り締まりの検問をしています。女子どもでも容赦なく連行される不法移民達。一方で、日常生活は送られており、普通のパリ市民は、のんきにカフェでおちゃしています。第二次大戦中のドイツやフランスでも、こうした場面は観られたことが数多くの映画が教えてくれます。今でも、自分には関係ないと見えるものを見ようとしないことは、ままあります。それは日本も例外ではありません。

 また、陽光あふれるマルセイユの町が、つい先日見た「TAXi ダイヤモンド・ミッション
」の脳天気な明るさではなく、絶望、諦観、恐怖に満ちた町として描かれていたのに、軽くショックを受けました。「カサブランカ」ではないですが、アメリカに脱出するためには、ビザが必要です。しかし、なかなかビザは下りず、ドイツ軍が迫ってくる。滅び行く運命を悟りつつ、日常を暮らさなければならない人たちのはかなさが非常によくあらわれていました。

 一方、日本的感覚からすると、マリーは愛人のリヒャルト(ゴーデハート・ギーズ)と国外脱出をはかりつつ、ヴァイデルのことを心配し、さらに、ゲオルグとも深い仲に落ちていきます。すぐに男女がくっつくのはフランス映画ぽさがありますが、自分の命が危なくなると、性欲が増大するという話もありますし、パウラ・ベーアの、まだ22歳とは思えない妖艶な演技もありますし、これまた邦画では絶対見られない光景だなと思いました。ストーリーを単純に追うのではなく、雰囲気にひたれる良作でした。
posted by 映画好きパパ at 07:27 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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